アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「生活保護減額」訴訟、最高裁が「違法」と認める(2年前、本紙では原告の理論的支柱・白井氏に問題の本質をインタビュー)

 国が2013年~15に生活保護費を引き下げたことは違法かどうかで争われていた最高裁の判決が6月27日にあり、減額は「違法」と認めた。
最高裁は厚労省の減額の根拠につき、「ゆがみ調整」は一定の合理性があるが、「デフレ調整」は合理性がなく違法とし、減額決定を取り消すとした。
この判決は、冒頭に掲げた「毎日」でも1面トップなどで詳細が報じられた。だが、この影響最大3000億円ともいう減額は、自民党が下野していた際、自民党が公約に掲げ、政権に返り咲いた第2次安倍政権下で行われたもので、彼らの頭に生活困窮者のことなどなく、先に減額あり気で、それに忖度した厚労省が減額の理由を後づけしたから杜撰極まりないものだったというのが事の本質と思われる。しかし、そこまで踏み込んだ解説はなく、ゆがみとデフレ調整と解説されてもよくわからない。
また、宇賀克也裁判長だけがゆがみ調整も違法で、原告(生活保護受給者)の損害賠償請求を求めるべきとの反対意見を付け、他の4裁判官の損害賠償は認めるべきでないとの意見が通ったのは不可解だ。
余りのデタラメな減額理由、またそれ故に違法との裁判は全国29都府県で1000人以上が提起し地裁では半数以上が「違法」との判決が出ていた事実の積み重ねがある故、さすがに最高裁もそうせざるを得なかったものの、基本的にはやはり最高裁は、地裁、高裁の順に最も国側を向く“ひらめ裁判官”が多いため、損害賠償請求までは認めなかったのではないか。
 この一連の訴訟で、原告と代理人弁護士との間をつなぎ、また理論的支柱ともなったのが、元「中日新聞」記者の白井康彦氏(右写真の眼鏡に緑の服を着た人物)
全国の裁判所をボランティアで奔走し、また専門家として何度も証人尋問でその違法性を解説した。
本紙・山岡が武富士盗聴事件で戦った際も、大手マスコミのなかで最も協力してくれたのが白井氏だった。
そういう縁から、本紙ではまだ裁判渦中の2023年4月、本紙YouTube版に登場してもらい、減額の本質につき白井氏に語ってもらっている。この機会に、是非、ご覧いただきたい。
(*2回に分けて配信。1回目はココをクリックのこと。2回目はココ。無料)。
本来の厚労省の役割からいえば、理不尽な減額はあり得ない話。だが、役所の本質は常に権力側を見ており、その典型例がこの減額。そういうデタラメを許さないためには、今回の訴訟のように、当事者が声を上げ、絶えず理不尽なことには「NO!」というべきだが、役所、裁判所に加え、大手マスコミも基本的に権力側で判決の結果しか報じないから困ったものだ。

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