アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

無許可営業で告発される――泉佐野市の「えびす鰻」ブランド化プロジェクトは大丈夫か!?

 大阪市泉佐野市は「ふるさと納税型クラウドファンディング」を行っている。
ふるさと納税制度の本来の目的である「地域を応援したい」、「地域に貢献したい」という純粋な思いをより事業に反映させるため、寄附金の使い道として具体的な事業を示し、それに共感する者から寄附をもらう仕組み。
いろんなプロジェクトがあるが、そのなかに同市でうなぎの陸上養殖にチャレンジするプロジェクトがある。
うなぎ養殖と言えば、生産量1位の鹿児島県、発祥の地である静岡県浜松市、そして3位の宮崎県が有名だが、泉佐野市でもと。
これは泉佐野市が立案したのではなく、「大黒水産」(経営会社は「あおい企画」大阪府羽曳野市。辻純代代表)が市に持ち込み同市がこれに乗ったもの。結果、冒頭写真のように、同市のふるさと納税寄付サイトで2024年9月9日から寄付を募ったところ、すでに当初目標の4375万円を突破し、5526万9000円も集まっている(6月24日現在)。
同HPによれば、将来的には泉佐野市をうなぎの一大生産地へ。その手始めとして、大黒水産は今年中に養殖を開始し、10月ごろには「えびす鰻」と名づけたうなぎ第一号を出荷したいとしている。
だが、本当にそれは可能なのだろうか?
というのは、6月17日、養鰻組合がこの大黒水産の辻氏、一緒に働く奥村倫弘氏を無許可営業をしていたとして大阪府警泉佐野警察署に告発したからだ。容疑名は「内水面漁業の振興に関する法律」の第36条第1項第2号。その場合、3年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処すとなっている。
うなぎの資源は極めて限られていることから、その漁は稚魚に限らず厳しく制限されている。厳罰化され、密漁をした場合、現在は3年以下の懲役または3000万円以下の罰金。
厳しいのは、うなぎ養殖も同様だ。
現状、うなぎの完全養殖は無理。採取した稚魚から育てるため、養殖業者は2015年6月より農林水産大臣の許可を受けなくてはならなくなっている。また、許可制の元でわが国の養殖業者のトータルの池入割当量を制限し管理している。そうしてうなぎの資源保護に努めているのだ。
「そのため、現状、新たに許可証は出ず、新しく養殖業をやりたい者は、すでに許可証を取っている者から譲ってもらうかたちとなる。相撲の親方株に似ています。
 2人共、地元有力者の仲介で許可証の譲渡を受け、その有力者の元で昨年10月から奈良県大和高田市の養殖池で見習いを始めたんです。ところが、1カ月もしないうちに2人はそこを飛び出し泉佐野市へ。許可証は養殖する場所が変われば変更届を出さなくてはなりません。また2人共、大和高田市で許可を受けた養殖池の総面積は12㎡だけだったところ、泉佐野市では共に205㎡の養殖池でやり出した。これも変更届けが必要です」(右写真は泉佐野市の養殖場の外観と室内)
ところが、2人共この変更届をせず、つまり「無許可」だった。このため、2人は前の養鰻管理協議会を除名されている。
ただし、今年5月、奥村氏だけは変更許可申請し、現在は別の許可証で辻氏とうなぎ養殖をしている。
辻・奥村氏の2人は昨年11月から泉佐野市で池入れし養殖業を始め、今年4月まで何度も新たに稚魚を池入れしている。したがって、そのトータルのうなぎ5万4200匹はすべて破棄しなければならない(前出・内水漁業の振興に関する法律36条3項は没収刑を定めている)。

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