公認会計士のH氏(60)は、大阪市旭区の医療法人M会の監事をしていた2023年2月末、2000万円の“闇金”に手を出した。利子は月2割の違法高金利。
FRPボンベの製造も手がけ、6億円もつぎ込んで工場まで建てたもののこちらの事業がうまくいかず、借金漬けの挙句、その前にはすでに暴力団筋の闇金から1000万円借りていた。
こちらの金利は月3割。
これよりはマシということで乗り換えたのだが、それでも年利だけで240%=4800万円。返せるわけがない。
その後、翌24年5月には2500万円、同年9月に600万円新たに借り入れるが、その大半は利子で差し引かれる有様だ。
ここまでは、闇金に手を出したらお決まりのコースともいえるが、H氏が手を出したこの闇金は極めて特殊だった。
冒頭で述べた最初の2000万円の借り入れからまだ1年経たない23年10月、H氏は大阪市西区のN社取締役に就任させられる。
同時に、N社は法人契約の生命保険に加入する(冒頭写真はイメージ)。
表向きの理由は、社員の福利厚生を充実させつつ、会社にとっても節税のメリットがあるというものだが、実際はH氏に死んでもらうためという。その場合、N社には9000万円の保険金が入るからだ。
「まず24年1月の真冬、この闇金がやっている大阪市福島区のホルモン焼き屋『S』で大量の酒を飲まされた上、近所の駐車場に遺棄されました。ですが、私は目が覚めて死にませんでした」(H氏)
すると、今度はH氏、翌2月、大阪より格段に寒い福井県福井市にH氏は電車で連れて行かれたという。そして、泊まった市内のアパホテルで無理やり酒を飲まされ昏倒。その状態で、積もった雪のなかに遺棄されたという。
「福井には、闇金を貸したSが一緒に同行。『生命保険を掛けているんだ。ちゃんと凍死しろ!』と言われました」(同)