アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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本の紹介『今さら誰にも聞けない 天皇のソボクな疑問』(跡部蛮著、ビジネス社)

 国連の女性差別撤廃委員会が皇室典範の改正を求めたことに対し、今年1月、日本政府が「日本の国連拠出金を、この委員会には使わせない」と猛反発したことを覚えておられるだろうか。「皇位継承は男系男子に限る」とする皇室典範は、今の世界の価値観でみれば男女平等に反するのは当然なのだが。
とはいえ、皇室典範の改正を考える前に、私たちは天皇制についてどれだけのことを知っているだろうか?
本紙・山岡の記者仲間、同時に、歴史作家・歴史研究家(日本史学の博士後期課程修了)でもある跡部蛮氏は、この新書『天皇のソボクな疑問』(ビジネス社)で、意外に知られていない日本史における天皇のあり方について、様々な角度から解き明かしている。
まず天皇は「万世一系」と言われるが、神話ではなく史実としての天皇はいつから存在したのか? 著者によれば崇神天皇(紀元前97年~30年)。それは知っている人が多いかもしれないが、「10世紀半ばから18世紀終わりまで、およそ900年間、天皇は存在しなかった」(はじめに)と聞けば誰もが驚く。種明かしすると、ミカドの尊号としての「天皇」は900年間、贈られず、代わりにミカドは「院」と呼ばれていた、ということだった。
ほかにも「正妻が二人もいた天皇がいたって本当?」「天皇と上皇、どっちが偉かった?」「即位式ができなかった天皇がいたって本当?」といった興味深い様々な質問に応えている。通読すると、日本史のなかで天皇がどういう存在だったかがわかる。
男女平等ということではこんなエピソードが紹介されている。江戸時代の天皇の肖像画は、二人の女帝だけが残されていない。なぜかというと女性は「穢れ」ていると差別されていたからだという(240ページ)。
(ビジネス社。定価1870円)

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