大阪府泉南市――関西国際空港に程近いこともあり、バブル時代、同市南西の森林からも埋め立てのために大量の砕石が運ばれ、同市信達金熊寺地区などは今もその採石場跡地がそのまま残されている。
そこで、現在、その跡地約64ha(東京ドーム15個ほどの広さ。冒頭地図の黒丸部分)を埋めたてて森林を復旧させると共に、その一部を魅力ある公園にして(右下写真。後出のNK社計画図)、地元住民は元より観光客も誘致しようという計画が進められている。
その主体は、この地区の地権者で作る「信達郷共有林野組合」(泉南市信達岡中)。4年ほど前に「株式会社NKコンサルタント」(以下、NK社と略。大阪市西区)に依頼し、NK社はまず埋め立ての土砂搬入のための道路を作っていた。ところが、そのNK社の社長だったK氏は昨年10月に事務所で首吊り自殺。そのため、今年2月、林野組合はコンペ方式で後継業者を選んだのだが、その選定につき関係者の間で疑義の声が上がっている。
「NK社が目論んでいたこの事業の最終的な目的は、他の公共工事で出た建設残土を採石場跡地の埋め立てに使い、残土捨て賃を徴収し利益を上げるといったものです。K氏は計画が完了すれば十分な利益と共に元金も返済するという条件で複数業者から数億にも渡る融資、出資を受けていた。ところが、K氏はこれまでに他の事業で作った借金返済などにその融資、出資金を流用していたため資金ショート。その結果、残土搬入のために作っていた道路工事も計画が中断するどころか、単なる環境破壊と言っても過言ではない極めてずさんな工事をしていた。そのため、大阪府から再三の是正勧告を受けて、手を付けれない状態となっていた。その挙句、債権者たちから厳しく追い込まれた末の自殺のようです。しかも、自殺直近も複数業者が何度も取立ての電話をしているのですが、今回選定された建設会社の背後には、どうやらこの業者の中の1社が関係しているようです」(関係者) それだけではない。
「K氏は自殺する4週間ほど前、周囲の関係者たちに、林野組合の当時の管理者と総代にワイロを渡したと語っていた。
実はNK社に出資をしていた業者の中に、自分の出資の片にNK社の株を押えたと主張している者もいた。ですから、K氏のワイロが効いて後継業者が決まった可能性があるのです」。
一方、ワイロをもらったとされる林野組合の管理者には前科がある。
泉南市の元有力市議(何度も議長も務めている)で、奇しくも、関西国際空港の利権絡みで1990年代、贈収賄事件に絡んで逮捕され有罪判決を受けている。その事件で市議を辞めたものの、息子は現在も泉南市議でもあり、「地元の森林のことは、彼(=管理者)に話をしないと前に進まない」(地元事情通)と今も囁かれるほどの実力者なのだ。