最近は、暗号資産(仮想通貨)の事件というと、架空請求で騙し取った被害金の資金洗浄(マネーロンダリング)に暗号資産を使い、資金決済法違反などに問われるケースが目立つが、相変らず、暗号資産へ投資させるケースも多いようだ。
それでもなかなか事件化しないのは、詐欺は最初から騙すつもりだったことを証明する必要がある上、海外の暗号資産交換所での販売許可だけは取るアリバイ上場が多いこともあるだろう。さらに売買がSNS上でやられカネの流れを追えない、相手の住所・氏名さえわからない、「領収書」もない(資金を出した証明が困難)ケースもハードルを高くしているようだ。
だが、今回紹介するケースはアリバイ上場をしていないし、公式アカウントもない、暗号資産のライセンスも取れていない、被害者に対し「売買契約書」を出している、加えて、この暗号資産の販売を仕掛けた主犯と思われる者が被害者と会い、何度も今度こそ返金すると日を指定し、その度にいろいろ理由をつけて未だに1円の支払いもしていないのだ。
これで告訴状を受理さえできないといわれたら、いったい、どんなケースだと逮捕できるというのか!? これでは「やり得ではないか!?」と被害者が怒るのも無理ないのではないか。
熊本市在住の会社社長K氏(60代)は、2023年5月、「RGHT」という暗号資産に500万円投資した。
当初の話では、すでに同年8月に上場が決まり、そうなれば暗号資産価値(1コイン50円で販売)は5~10倍になるとの触れ込みだった。
一般にはホワイトぺーパーなどの資料を見て購入を判断すると思うが、K氏はそういう知識に乏しく、判断基準は、熊本市内のANAホテルラウンジで営業を受けた「城間」なる者は地元有力企業「カンサイホールディングス」の創業者の孫であることを名乗ったことだった。そもそもの紹介者(同じく被害者)も、そのことを信じていたことから、そんな者が詐欺をするはずがないと判断したのだった。 ところが、8月の上場は9月、さらに10月と延びる。
そこでK氏は返金を要求したところ、11月の話し合いで、前出・城間氏らはこれまでの言を翻し、RGHTのプロジェクトの代表は他にいると言い出し、東京から出て来たのが「宮田浩太郎」(冒頭写真)という者だった。
その宮田氏は12月15日ごろに上場すると。
それでも上場はしない。返金もなし。
それが23年12月から24年1月の間に6度も延期に。
ここに至り、K氏が慣れないPC検索をすると、常習詐欺師として同名の宮田氏が出て来た。
宮田氏、今度は「解約が増えて、弁護士に相談している」と言い訳。で、弁護士に連絡させるというが連絡なく、弁護士の連絡先を聞いても教えない。
たまらずK氏、24年2月には上京して宮田氏に会い、「必ず元金は返済する」との言質を取るも、約束の29日にまた返金なく、この後も何度も約束の日に返金なく、昨年9月までその繰り返し。そして、ついには連絡さえ取れなくなる。
そこでK氏、昨年9月には宮田氏、宮田氏の手下の前出・城間氏、それに城間氏の地元仲間「古賀」氏(自分の息子と城間氏が先輩後輩の仲で、何かトラブルがあれば、自分は城間氏=カンサイ創業者孫=の両親にも会っているから、自分から両親に言うとまで話す)の3名に対し、弁護士から1週間以内に返金を求め、ない場合は刑事告訴することを通知。
しかし、やはり返金なし。
そこでK氏は昨年11月、福岡県警博多警察署に、東京在住の前出・宮田、城間両氏、それに地元・福岡市博多区在住の古賀氏の3名を、詐欺容疑で告訴したのだった。
だが、以上のような内容、経緯にも拘わらず、未だ博多警察署は受理しないという。
なぜか?