今年5月、『リーマンの牢獄』(講談社)という書籍(右下写真)が発売された。
約1500億円もの資金を集めた大型詐欺「アスクレピオス事件」を起こし、その主犯で、詐欺罪で懲役15年の実刑に問われた齋藤栄功氏は2022年6月、刑期を約1年残して仮釈放に。で、翌23年4月から、月刊会員制情報誌『FACTA』創刊者で主筆だった阿部重夫氏が新たに始めたウェブメディア『ストイカ』で同事件について連載を初めた(~10月)。それを加筆・修正しまとめたものが『リーマンの牢獄』だ(阿部氏が監修)。
本紙でも、この著書のことは今年6月に紹介しているが、同事件の最大の闇は、未だ約371億円が行方不明であること。
齋藤氏は公判でその件を一切明かさなかったが、同書では「黒崎勉」なる者が登場し、彼がシロサギの齋藤氏の儲けを跳ねた、さらなる主犯のクロサギがいると記しているが、さすがにそれは匿名になっていた。
ところが今回、提訴された月刊経済誌『ZAITEN』(24年10月号)の記事(冒頭写真)には、その「黒崎勉」の実名が記されていた。
その実名は、本紙では以下の有料記事部分で紹介する。
というのは、その実名で記された者(A氏)が、記事は事実無根で、A氏が手掛けている不動産事業でも社会的信用力、金融機関との融資取引などに多大な悪影響を与え、それはA氏の家庭や子どもたちの社会的生活にも多大な支障が生じ、精神的苦痛による損害も含め金2億円を下らないとして、この9月17日付けで東京地裁に民事提訴したからだ。
その訴状などよれば、被告は『ZEITEN』を出している「財界展望新社」(東京都千代田区。鳥飼寛代表)、編集長の河野望氏、それに情報提供した齋藤氏。そして共同して2憶2000万円の支払い、それにZAITENのウェブサイト上への謝罪文掲載を求めている。
なお、11月5日が答弁期日で、ZAITEN側が基本、原告の請求につき否認。全面的に争う姿勢を示した。また、12日に第1回口頭弁論期日が予定されていたが、ZAITEN側の弁論準備の都合で延長をお願い。そのため、まだ新たな期日は決まっていないという。決定次第、お伝えするつもりだ。