10月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた「船井電機」(大阪府大東市)。負債総額は474億円。
10月29日には、大手企業信用調査会社「東京商工リサーチ」が、今年9月末時点で117億円の債務超過に陥っていたことがわかったと報じている。
一般読者は、船井電機といえば、国内大手の家電量販店で独占的に販売していた「FUNAI」ブランドの低価格帯液晶テレビを思い浮かべるのではないだろうか。
その通りなのだが、しかし今回、破産開始決定を受けた船井電機は、それまでの船井電機を会社分割し、2023年2月に設立された。それまでの船井電機は持ち株会社となり、社名を「船井電機・ホールディングス」(以下、船井電機HD略)と23年3月末で変更している。
本紙がなぜ、このことに拘るかと言うと、2021年7月に上田智一前社長(右下写真)らが船井電機HD社長に、そして今回破産開始決定を受けた船井電機の社長にも設立時の23年2月から就くのだが、前出・東京商工リサーチの記事によれば、今年9月末現在、船井電機は船井電機HDに253億円を貸し付けそれが回収不能に。さらに、今回破産開始決定の大きな要因となった大手脱毛「ミュゼプラチナム」の買収資金は船井電機の不動産を担保にしたものだし、ミュゼが「サイバー・バズ」への広告代を払えず9月初めに連帯保証していた関係で船井電機の株式が仮差押えを受けた。
船井HDは持ち株会社であることから、その資産の8割以上は船井電機やその関連会社の株式。本紙が言いたいことは、持ち株会社をわざわざ設けることで、船井電機の資産をミュゼ買収も含め食っていたのではないかということだ。
なぜなら、「秀和システム」代表の上田氏は21年5月、TOBで当時、上場していた船井電機を買収し非上場化。だが、秀和に目ぼしい資産はなく、買収資金約260億円は銀行借り入れ。そして同年7月に船井電機社長に。そして経営がうまくいかないなか、これまでの役員がほぼ一掃され、今年5月、船井電機の方の役員に新たに「同和」関連の者が3名就いたのは本紙既報の通り。
そして上田氏は9月27日付で社長も取締役も外れる。それは「同和」関連の3名も同じ。
代わって、10月2日までに代表取締役会長に原田義昭元環境大臣など、新経営陣が就いたと思ったら、1カ月もしないうちに破産開始決定だ。
だが、こうした流れから、もう船井電機は食い尽くしたつもりだったかといえば、そうではないようだ。
それなら、わざわざ原田氏を連れて来る必要はないからだ。