本紙では今年2月8日、「福岡大手分譲マンション会社で起きているゴキブリ大量発生巡るトラブル」というタイトル記事を報じている。
Mさん一家は、2022年6月に福岡県北九州市内のこの分譲マンション(冒頭写真。12階建て)に入居。新築なのに、入居初日から、バルコニー周辺に異常な数と大きさ(体長5センチ大)のゴキブリ発生に気づき、このマンション分譲会社に相談。結果、12階の部屋の床下にカメラを入れて検査を行ったが異常なしとのことだった。
しかし、納得できないMさんが同年10月、個人的に検査したところ、1回目の検査にも立ち会った建設会社責任者が「1回目の報告は間違い」、「床下に多くのゴミが残されている異常な状態」と。そのゴミを食べてゴキブリが増殖している可能性を示唆した。
しかし、それでもこの福岡の地場大手分譲マンション会社はそれは「個人的な見解」と繰り返し、アフターサービスの対象外と何ら対策も補償もせず。それどころか、圧力が加わったのか、前出の建設会社責任者は「1回目の報告は間違い」などの発言を撤回する有様。
そうしたことから、本紙は前回記事を報じた際、分譲マンション会社の対応は不誠実とは思いながらも、正直、ゴキブリ発生と工事の不備との因果関係には確信が持てなかった。
ところが、その後、この同じマンションで建物に多数のひび割れ(クラック)が発生していることが発覚。
これに関しても、分譲マンション会社は、「温度や湿度、乾燥伸縮が原因で、程度の大小はあるが建築後ほぼ必ず起きる」旨言い(横写真=問題マンション管理組合に出した見解の文書)、自社は現場も見ず、下請け会社に遅ればせながら内側の壁のみ修繕工事をやらせただけだった。しかし10年も経過したならともかく新築して2年も経たずひび割れが大きく、またマンション全体に見られることなどから納得できず、住民側が専門家に調査を依頼したところ、今年4月、分譲マンション会社の主張する「湿度や気温の変化などでは絶対にないと言える」とのこと。そして「工事短縮などでコンクリートの乾燥期間不足も考えられるが、構造計算上の問題なども疑うことが出来る」、「表面だけを補修しても根本的な解決にならない」、「もし構造計算上の問題などでひび割れが起きているなら(マンションの)資産価値に多大な影響が生じる恐れがある」といった報告が。
こうした経緯のなか、当初のMさん一家だけの訴えから、入居者の多くが分譲マンション会社に不信感を抱くようになり、この5月3日付で、管理組合から「かかる被害が本件マンションの完成後間もなく発生していることに鑑みると、本件マンションの共有部分は、本来備えるべき品質、性能、安全性、衛生上の配慮を欠いていたといえ、欠陥があると考えることが合理的」として、ゴキブリの大量発生の件も含め、「直ちに当該欠陥を補修・是正するように求めます」との「通知書」を出すに至った。