筆者・堀川嘉照(ほりかわ・よしてる)。1966年生。都立上野高等学校卒。16歳からボクシングを始め、19歳プロデビュー。20歳でソフトウェア会社設立。23歳で日本バンタム級ランキング入り。引退後、ボクシング興行を手掛ける。50歳よりジャーナリズムの世界へ。
ボクシングでの東京ドーム初興行は1988年3月21日――5万1000人の観客を集め、マイク・タイソンが2回KO勝ちしてこけら落としを飾った。それから2年後の1990年2月11日、タイソンが東京ドームに戻って来たが、カネも名誉も手に入れたタイソンは壮絶なKO負けをした。
あれから34年、タイソンが東京ドームで負けた時はまだ生まれていない、日本ボクシング史上最強のモンスター・井上尚弥チャンピオンが来る5月6日、東京ドームのリングに立つ。
今更、井上チャンピオンの説明は必要ないだろう(*この連載1~3回「ボクシングの達人・井上尚弥研究」を是非ご覧下さい)。
対する挑戦者、ルイス・ネリ(メキシコ)を最強の挑戦者と呼ぶ者もいるが、どうか? 試合展開を予想する。
ネリはスタミナがなく、ボディーが弱い。
井上チャンピオンは序盤からボディーを重点的に狙いながら、ネリのガードが下がるのを待ち、ネリのスタミナ、モチベーションを削ぎ落として中盤KOのシナリオではないか。
ネリ陣営もそこは計算済みで、ネリのパンチ、モチベーションが生きてる前半に仕掛けるのみ。しかし、ネリがKOを狙ったパンチを出せば井上チャンピオンの餌食になるのは明白では。
率直に言えば、ネリの勝機は見当たらない。
結局、「モンスターvs悪童」に過ぎず、悪童ではモンスターの敵ではない。ラッキーパンチも当たらないだろう。