アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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小池知事学歴詐称隠ぺい協力者――千代田区・樋口区長が強行するイチョウ街路樹伐採の傍若無人ぶり

 本紙でも既報のように、小池百合子・都知事の学歴詐称疑惑が、4月10日発売の『文藝春秋』(冒頭右写真)の報道により再燃するなか、同報道で、その隠ぺい工作に協力していたと指摘され、樋口高顕・千代田区長(冒頭左写真。当時は都議)にも厳しい目が向けられると共に、同区での区議収賄事件、その入札を担当していた職員の自殺が発覚し千代田区政にも注目が集まっている。
そんななか、樋口区長は姿を隠していたが、昨4月25日、千代田区議会臨時会に出席。その席で、岩田かずひと区議(立憲)が、学歴詐称隠ぺい工作報道に関して樋口区長の説明を求める動議を出したが賛成3、反対20の圧倒的多数で否決された。本来、区議会は区長の監視も重要な役目だと思うが、まったく機能を果たしていないということだろう。
それはともかく、その千代田区で今大きな問題になっているのが、神田警察通りのイチョウ街路樹の伐採問題。
4月11日の記事でも触れたが、4月15日、司法記者クラブで、伐採に反対する区民2名と弁護士2名が、緊急記者会見を行った。
出席した記者は少なく、大手マスコミではほとんど報道されていない。確かに、何も知識がなければ、なぜ、イチョウの伐採ごときにそれほど拘るのかピンと来ないかも知れない。
しかし、この間の経緯を知ると、樋口区長がいかに住民の声を無視し、傍若無人のふるまいをしているかわかる。これほど権力の暴力性が可視化され、司法を軽視し、民主主義を否定するケースは珍しいのではないか。しかも、そんなことが東京23区のなかでも千代田区という日本の最中心部で罷り通っている。
詳細は、下記に紹介した記者会見の映像(約30分)を見てもらうとして、以下、概要を述べておく。

まず、イチョウ並みの伐採に反対しているのは決して少数派ではないこと。
伐採の早期実施を求める区民の陳情の署名者が132名であるのに対し、伐採の見直しを求める陳情の署名は604名だからだ。
反対が多いのは、伐採対象のイチョウの樹齢は古く、かつ、区内の他の歩道拡張工事では伐採しないで済んだ前例があるからだ。だから、反対派区民は工事自体に反対しているわけではない。伐採しないでも工事は出来るだろうと言っているのだ。
そして区に話し合いを求めている。
ところが、区は一切話し合いに応じない。樋口区長、議会にも陳情しているが無視。しかも、区は一昨年夏ごろまでは返事をするといっていたのに、昨年2月、突如、伐採すると通告し、返事するとの約束などしていないと言い放ったという。
そこで反対派区民は神田警察通りの街路樹を守る会を2021年に結成。伐採工事阻止に乗り出す。区側は夜中にこっそり伐採するため、夜8時から朝まで毎日、1人づつ、伐採対象になっている木の前に立ったり、座ったりする。すると、さすがに工事業者は反対派区民を押し除けてまで工事を強行しないからだ。
ただし、反対派区民は女性や高齢者が多く、トイレに行く、具合の悪くなる人もいる。そして、少しでも木から離れるとたちまち作業帯を設け、そこに入ることを禁止。そして工事を強行する。その際、区民が近くにいて、もし伐採したクレーンで釣り上げた大木がミスで落下したら区民の頭に当たるような距離でもお構いなしとのこと。
そうかと思えば、逆に木を見守る区民に対し、他人数で周りをテープで囲い、それを縮め、身動きが出来ないかと思えるほどにして威嚇する。区民の顔をビデオ撮影する。そして、いくら話しかけても皆、一切無視。パトカーを呼んで、軽犯罪法で逮捕すると威嚇されたケースもあるという。
それでも反対派区民はめげず、この毎晩10数名の“抗議行動”は、のべ500日以上、連続して実に430日に及ぶという。
ところが、これに対し、区側は昨年11月、反対派区民10名を相手取り、伐採予定のイチョウ並木がある神田警察通り約230mの歩道、車道への立ち入りを午後8時から翌朝午前6時まで禁止(横写真の黄色マーカー囲み部分)する仮処分を申し立てた。
公道を通るのは誰でも自由のはず。ところが、話し合いにも応じないで、区民を公道から締め出すという暴挙に出たという。
その申立書によれば、この10名の区民は工事の「妨害活動」を行っていることになり、また「作業帯を破壊するなどの行為に及び、制止を求めた区職員や工事作業員に暴行に及び、東京地検に書類送検された」などと記し、殊更悪意に満ち「過激派」扱いの如きだ。
 しかも、この仮処分、今年3月に決定が出て裁判所は認めた(10名の内8名について)。
ただし、それは公道全体への禁止ではない。
さすがに区も、自分から申し立てておいて、それはさすがにやり過ぎと思ったからではないか。途中から、「作業帯内への立ち入り禁止」に変更。
そのため、反対派区民は、作業前に対象木の前に行き、作業帯を作らせないようにしているものの、少ない人数、そして前述のトイレ、体調不良などによる隙を突かれ、イチョウの木は次々と伐採されている。
「司法の軽視」と前述したが、これは今年3月11日に「作業帯綯いへの立ち入り禁止」の仮処分に対し、住民側は3月21日、保全異議申し立てをし、区側は区議会で工事OKの決議を取っているとして工事を正当化するが、そもそも虚偽の説明でOKを取っているので決議は無効などと争っているにも拘わらず、4月9日から4日連続で工事を強行し11本を伐採。これにより、対象のイチョウ30本中、まだ伐採を免れているのは12本とのことだ。
確かに、保全異議申立に工事執行停止の力はない。だが、反対派区民代理人の大城聡弁護士は、4月15日に出した上申書において、「本件は本件街路樹の伐採に関する紛争であり、保全異議の双方審尋期日を待たずに、本件街路樹を全て伐採しようとする債権者(区)の行動は司法を著しく軽視するものです」と記し、憤っている。
4月15日に緊急記者会見をしたのは、この区並びに樋口区長の、区民を敵とし、保全異議申立などお構いなく、一挙に伐採を完了しようとする、まさに民主主義を完全否定する行動に強い危機感を持ったからだろう。
樋口区長、「都民ファ―ストの会」副会長だが、このどこが都民ファーストなのか? 独裁者ではないか!?
なお、保全異議申立の1回目審尋は5月13日。

〇4月15日緊急記者会見の映像(*ココをクリックすれば視れます

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