霊園や納骨を受託開発・販売する最大手の「ニチリョク」(7578。東証スタンダード。東京都中央区。冒頭写真=篠田丈取締役会長)――その筆頭株主はEDNETの最新情報を見る限り「バリューアップ・ファンド投資事業組合」で45・65%。次いで「シグマシンカ」の6・7%。『四季報』(24年1集)でもバリューアップ持分がわずかに少ないだけで、どちらにしろ、両社合わせると50%以上の過半数以上になっている。
ところが、シグマシンカ側は、昨年秋ごろにバリューアップの持分をすべて買収し、実質ニチリョクの経営権を握っているとして、一般投資家には、今後ニチリョクの業績はよくなると。高齢者にも営業の電話をかけ、「実質、墓代がタダになる」などと言って投資を募っているという。
実は本紙でも似たような話を聞いて、2023年11月21日、「宝田陽平の兜町アンダーワールド」という連載のなかで報じていた。
そこですでに触れていたが、このシグマシンカの代表は父親で、実際に指揮を取っているのは40代という息子の竹山聡氏(右写真)。
その竹山氏、「ミンドル(MINDOL)」という仮想通貨(暗号資産)発行で詐欺を働き、しばらくドバイを始め海外を転々としていたが、昨年3月ごろに帰国したという。ただし、バリューアップ側から相対でニチリョク株を取得したのは22年12月。その約1億2000万円の取得資金は仮想通貨で稼いだ分をつぎ込んだもの。ただし、周りには20億円ほどは稼いでいると豪語しているので、それが事実なら、過半数以上のニチリョク株取得も可能であるわけだ。
では、なぜ名義が変わらないのか?
本紙では、真偽を確かめるため、バリューアップのファンドを組成している「アリスタゴラ・アドバイザーズ」担当者に連絡している。売却は事実でないなら否定すればいいだけのこと。竹山氏につき、仮想通貨詐欺の疑惑が出ているとなればなおさらだ。ところが、なぜか曖昧な返事に終始。そのため、ハッキリと報じられなかった。
ところが、今回、その本紙記事を見た関係者から、これ以上、ニチリョクの経営権を握っているという虚偽の情報で被害者を増やしたくないということで、本紙に情報提供したという。そして、「100%、竹山氏がバリューアップ分を追加で買った事実はありません」と断言した。