アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<12年ぶりの復活連載>元「フライデー」名物記者・新藤厚(右翼)の貧困記(生活保護老人のノスタルジックな日々)第2回「宝島社・蓮見社長死去に際して」

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新藤厚 1951生まれ(73歳)
1971年 週刊誌記者
79年~84年 テレビレポーター (テレビ朝日・TBS)
84年~99年 「フライデー」記者
99年~2008年 信州で民宿経営
2013年より生活保護開始

田舎暮らしのよいところはまわりにいくらでも手つかずの自然が残ることである。小生の棲息する信州佐久平は標高が700米を越す高原盆地である。周囲を八ヶ岳、浅間山などの百名山はじめ重畳たる山々にかこまれた田園地帯である。むかし藤村が「歌哀し佐久の草笛」と詠んだ寂しい鄙も、いまは新幹線と高速道路ができて全国チェーンの店舗看板のならぶどこにでもあるような地方都市にかわった。冬場は最低気温が氷点下10度を超えるような寒冷地だから寒さに弱い老人には厳しい土地でもあるが、この地に移住してもう15年になる。

還暦を過ぎて生活保護を利用するようになってから山歩きをはじめた。見渡すと老人に手頃な低山里山がいくらでもある。いちばんは何といってもカネのかからない遊びだからである。

弥生。啓蟄を過ぎて今年も早春の残雪登山に出かけた。上州との県境の山、荒船山(横写真。標高1423m)。最近、老人にはやりの低山歩きでも人気の「日本百低山」である。青空と一面の雪景色の中をのんびりと単独行の老人が往く。雪原でケツの真っ白なバンビがすぐ横を走りぬけていく。老人には見向きもせずに。山では唱歌をぼそぼそと唄う。春は名のみの風の寒さよ。誰とも出会わないたった一人の雪の山中、老人は孤独と至福をかみしめている。都会の貧乏人にはできない遊びだろう。

前回、一日100円の食費について書いたら、旧友から「そんなに貧乏だったのか」と同情されて鯖缶の詰め合わせが送られてきた。正直、控えめに行っても貧乏である。友情は鯖缶に限るなあ、とありがたかった。

貧困でも楽しい老後がおくれるか、がこの与太記事のテーマである。だから今回も家計について書く。月の所得は年金と生活保護費で約10万円である。まず築50年のボロアパートの家賃が4万3000円。市の生活保護基準では家賃は3万2000円以内なのだが、いまさら引っ越すのが面倒で分不相応な部屋に住んでいる。

光熱費(電気・ガス・水道)が約2万円。いまの時期は灯油がプラス1万円。通信費(インターネット接続・携帯電話)1万円。新聞・ネットフリックスで5600円。カーシェアリング会費+ガソリン代1万円。花見や山歩きに出かけるので行動の足は絶対必要。煙草1万5000円。銭湯3000円。博打4000円。ナンバー賭博をする。ナマポとバクチは異和があるかもしれないが、人はパンのみにて生きるにあらず。誰でも若い頃に「ホモ・ルーデンス」を読んだだろう。愛犬のドックフード、オシメ代4000円。間もなく19歳の老犬だから悲惨な垂れ流し。そして最後に人間の食費3000円。

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