今ごろと思われるだろうが、ジャーナリスト仲間の小川善照氏(54)が強制送還されたことを知らず、たまたま別件で7月6日に連絡を取った際、本人から告げられ知った。
小川氏は6月29日午後6時成田発の便で香港へ。午後9時50分(現地時間)に着いたが、香港空港内の出入境管理局で尋問、荷物・身体検査を数時間に渡り受ける。すでに午前0時を回り、明日も調べがあるといわれ、同施設内の鍵こそかけられていないが、3畳ほどの部屋に泊まらされ(職員が1時間置きに巡回)、30日午前中に入境拒否を告げられ、その約2時間後の飛行機で強制送還されたという。
小川氏は2014年の雨傘運動以来、毎年香港を訪ね、2020年5月には、19年に起きた反政府抗議運動を取材した著書『香港デモ戦記』(集英社)を出していた。ただ、コロナ禍もあり、香港訪問は20年2月以来だった。
この間、20年6月30日には、反体制的動きを封じる国家安全維持法(国安法)が北京政府によって施行されていた。
「私がそれまで見た香港は、民主はなくても自由があった。だが、もはやまったく違う香港になってしまったと思いました。強制送還の理由はいくら聞いても入管職員は答えませんでした。しかし、香港当局が、著書で私が民主活動家の言葉を伝えたことが気に入らなかったのは確かでしょう」(小川氏)
小川氏と本紙・山岡は20年来のつきあい。
小川氏も某週刊誌記者。ただし、香港取材はフリーとしてやっていた。
香港で日本人ジャーナリストが入境拒否されるのは初めて。ただし、昨年12月以降、抗議運動を撮影した写真家、運動期間中に路上で演奏活動をしていた2人が入境拒否に。小川氏も含め皆フリーで、小川氏は自分が大手メディアの所属でない事情もあってのことと見る。