岐阜市の陸上自衛隊射撃場での隊員3人の死傷事件を受け、本紙では6月24日、射撃訓練の教官を務めたこともある陸自元幹部(仮にA氏とする)の証言を紹介した。
事件を起こした陸上自衛官候補生W(18)は、冒頭に掲げた図(冒頭写真)のように、「準備線」にいた際、教官の指示の下、自分の小銃の弾倉に実弾を込める作業にあたっていたところ、無断で小銃に実弾を込めた弾倉を装填、そして事件を起こしたという。
大手マスコミの報道では、そう事実経過を述べているだけ。だから、準備線にいる段階で、小銃だけでなく実弾を込めた弾倉を手にすることは普通のことと、報道を見た者は思ってしまう。
ところが、証言してくれたA氏によれば、少なくとも自分の時代には「射撃位置」に着くまで、小銃と弾倉の両方を渡されることはなかったというものだった。だから、A氏は「昔通りの訓練内容なら、あり得ない事件」と語ったのだ。
もし、それが本当なら、この事件は単に自衛官候補生Wの異常行為に発したものではなく、訓練方法の組織的ミスによるものではないか?
そこで、本紙は、①昔と訓練方法が変わったのか、②変わったとしたらなぜなのか、③変わってないのなら、今回事件は特殊なケースの元で起きたのか、この3点につき、陸上幕僚監部広報室に質問を出していた。そして、本日、その回答が来た。(横写真=現場の日野射撃場)
結論を一言でいえば、広報室の答えは、訓練方法は変わっておらず、特殊なケースの元で起きた事件なのかとの問いには、「調査中のため、回答を差し控えさせていただきます」というものだった。
ということは、やはり、この事件は普通にやっていれば防げたのではないか!?
本紙のようなミニメディア、それも専門分野でもないところが、たまたま証言を得たからとはいえこうして報じているのに、なぜ、こうした問題提起をしないのか?
ただ、防衛省の言うことを、疑問を抱かず報じるのは「御用マスコミ」で、本来のマスコミではないのでは、とあえて指摘しておく。
以下、本紙の質問と、防衛省側の回答を全文、転載しておく。