本紙では今年1月14日、「『ハマのドン』藤木会長にケンカを売った24歳現役社員」というタイトル記事を報じている。
小又英一郎氏は明治大学を卒業するや、藤木幸夫氏(92)が会長を務める横浜港の荷役事業などを行う「藤木企業」(神奈川県横浜市)に入社。「ハマのドン」とも呼ばれる藤木氏の著書『ミナトのせがれ』(神奈川新聞社。07年2月)を読んで、その「義理・人情・恩」に憧れたからだ。
ところが、一般事務職で入試したはずが、2年近く、来る日も来る日も横浜港での荷物担ぎだけ。
当初は現場を覚えてもらうためということで納得していたが、余りにおかしいと思い調べてみると、藤木企業に内定した際、喜びの余り、小又氏は藤木会長に手紙を出したが、それが「俺に直接手紙など生意気だ!」と藤木会長の逆鱗に触れたためと当時の専務が言っていたと伝え聞く。
藤木氏といえば、菅義偉首相(当時)の地元・横浜の有力後援者だったが、「横浜といえば(日雇い労働者の街)寿町など典型的なように、パチンコ、賭けマージャンなどで身を崩し、家族が壊れるケースをいくら見て来たことか。お前、それでも政治家か。俺は絶対に反対だ!」とカジノ誘致に反対し袂を分かち、拍手喝采を浴びたばかりだった。
そんな折、小又氏は「ハマのドン」に「あなたの『義理・人情・恩』は本物ではありません!」などとケンカを売り、企業内に組合まで作ったものだから、その行方が注目されていた。
それから約8カ月。
実は小又氏、まず今年3月、荷役作業従事ばかりは労働契約法違反だとして、一般職での職場復帰を求め、神奈川労働局にて斡旋調停をしたものの合意に至らず。
そして、4月15日には解雇通告を受けたという。
だが、納得できず、横浜地裁にて労働審判に。
7月11日に1回目、8月23日に2回目があり、小又氏の求めた解雇無効と一般職員としての職場復帰は棄却された。
しかしながら、解雇撤回(普通退職)、それに30万円の解決金を藤木企業は支払うとの和解で決着が着いたので、実質、勝訴という。