アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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何のための「厳重処分」導入なのか? 日本経団連、武富士活動自粛処分“解除”の不可解

●除名かと思ったら、1月26日で処分を解除していた

 日本経団連は武井保雄武富士前会長の逮捕を受け、一昨年12月、会員企業である武富士に対し、経済界での公的活動を自粛するとの処分を発表していた。
その際、奥田碩会長は、今後、武富士に関して「除名も考えている」と語っていたのだが、その後、武井の有罪が確定しても、何ら追加処分は下されていなかった。
そのため、先日、本紙・山岡は、取材した記者から「日本経団連が武富士に対し……」と電話で切り出された際、やっと除名処分に踏み切ったのかと思ったら、まったく逆で、自粛処分の解除。思わず、絶句してしまった。
日本経団連は度重なる会員企業の不祥事のなか、03年10月、企業行動憲章を改定し、それまでの厳重注意、活動自粛、経団連の役職退任の処分に加え、会員資格停止、退会勧告、除名の「厳重処分」を導入した。
武富士の場合、武井は本紙・山岡に盗聴(電気通信法事業違反)に加え、名誉毀損でも告訴され、有罪判決を受けた(懲役3年、執行猶予4年)。しかも裁判進行中、裁判長に嘘の理由をいって山岡と接触する許可を取り、山岡をおびき出し、「冤罪論」をデッチ上げて示談書へサインさせるという謀略を行い、裁判長も公判中、その事実を知っていたら許可を出さなかったと激怒していた。反省など微塵もしていないのは明らか。一方、法人たる武富士も盗聴では有罪判決を受けている。しかも、未だ武富士の経営陣中には、検察から盗聴を指示していたのではないかと指摘された、武井の次男・健晃氏が代表取締役専務の地位にあるのだ。
このどこに、除名処分を追加で行うのなら納得だが、逆に軽い自粛処分さえ解除の理由があるというのか。

●武富士以外の重大犯罪を犯した企業も軒並み、活動自粛処分止まり

もっとも、この日本経団連の会長がトヨタ自動車の奥田氏という事実を思えば、納得いかないわけでもない。
本紙はこの間、ミサワホームの再生機構行きの不自然さに関し、何度も検証してきた。この件で、、トヨタ自動車という一私企業の利益のため、奥田氏が日本経団連会長の地位を利用して立ち振るまっていたのだ。
トップからしてとんでもない日本経団連に、最初から、まともな処分を求める方がどうかしていたのだろう。
何しろ、西武鉄道、三菱自動車、三井物産、UFJ銀行さえも、少なくともいまのところ、やはり自粛処分だけで済ませているのだ。
三菱自動車など、ある種、“人殺し”といっていい行為までしていたのだが、これでこの処分。
奥田会長に問いたい、「いったい、何人無実の人間を殺せば除名処分になるのですか?」と。

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