●元旦の全国紙に堂々1面広告。設立は昭和63年4月14日と明記
いまや全国で58施設、入居者約2800名を誇る大手有料老人ホーム経営会社ベストライフ(本社・東京都渋谷区)。年商は100億円を超え、上場準備中といわれる。
そのベストライフが、上記写真左のように、元旦の「読売新聞」に一面まるまるを使って広告を載せている。そのなかで、同社設立は「昭和63(1988)年4月14日」(カッコ内は本紙注)と謳われている。
これをみれば、読者は誰だって、ベストライフという会社はこの年に創立され、以来、有料老人ホーム事業を約20年間続けている、“歴史ある”企業と思って当然だ。
しかし、同社の会社謄本(上記写真右)を見てみると、会社設立は01(平成13)年12月10日。まだ、それから3年余りしか経っていないのだ。
では、なぜ、新聞広告では88年4月14日となっているのか?
●会社分割制度を利用して、別会社の経営権を譲渡
そこで、次にベストライフの会社謄本の一部(左写真左)を見ていただきたい。
そこに、「会社分割」、「ベスト・シニア・ライフから分割」と記されている。
そのベスト・シニア・ライフの会社謄本(左写真右)を取ってみた。
同社の設立は、上記「読売新聞」掲載のベストライフの設立年月とピタリ一致する。
もっとも、このベスト・シニア・ライフはそもそも「トラストフォーラム」と別名の会社で、同社名からベスト・シニア・ライフに社名変更されるまで、有料老人ホーム事業を行っていなかったことが、会社謄本の「目的」が99(平成11)年9月、変更され、「有料老人ホーム施設の企画設計」、「老人ホームの経営」が追加されていることからわかる。
こうして見てくると、前身のベスト・シニア・ライフから考えても、ベストライフが有料老人ホームの経営に携わっているのは、99年9月以降、5年半余りに過ぎないことは明らかだ。
また、現在の複数の役員がベスト・シニア・ライフの役員と重なり、これら役員が就任したのも99年9月であるところを見ると、ベスト・シニア・ライフ自体、実質、休眠会社を買い取った可能性が高いだろう。
では、なぜ、ベストライフはこのような変遷を辿っているのか。