本紙では4月1日、催事で版画作品を展示販売がメーンの「アールビバン」(7523。スタンダード。東京都品川区。野澤克巳・代表取締役会長兼社長=下右写真)が3月22日、約6年間の同社の有価証券報告書などを訂正したとIRした件を取り上げている。
同社は、「当社の作家X及び当該管理会社(以下、総称して「取引先Xという)」の代理人弁護士からロイヤリティが支払われていないなどの連絡が来て確認したところ、売上原価の一部に計上漏れ(6億8800万円)があることが判明したとして有価証券報告書を訂正したのだが、社内調査委員会を設置し、その調査結果を報告したものの、その作家X氏が誰かさえ明らかにしていない。しかも、この計上漏れは「担当者の引継ぎミス」としたが、実際には会社ぐるみの隠ぺいの結果との情報さえ本紙には入って来た。
挙句、今回計上漏れがハッキリしたことで、信頼を完全に失い、すでにこの作家X氏(=クリスチャン・ラッセン氏。冒頭写真はラッセン氏と作品)とアールビバンの販売契約は今年1月27日に解除になっているはずだが、そのこともアールビバンは明らかにしていない。
だからこそ、本紙では4月1日にこれらの事実、疑惑を報じたのだが、それから丸1カ月経過した未だ、アールビバンはラッセン氏の作品につき販売契約解除になった事実を明らかにしてない。
そこで本紙では、販売契約解除に伴い、アールビバンの今後の業績が大幅に低下する可能性が高いことを、具体的に根拠を示して追加報道することにした。
前回記事でもサラリと述べてはいるが、ラッセン氏の作品の売上高はピーク時、アールビバンの売上高全体の実に半分近くを占めることもあったという。そして未だかなりの売上高を占めていると見られる。それだけ大変なことだから、契約解除になった事実を報じないことは適時開示基準違反で、投資家を欺く行為と思われるが、逆にいえば、それだけにアールビバンにすれば、その事実公表を出来るだけ先延ばしし、その間にラッセン氏の作品に代わる有力な事業を見つけ、この5月半ばに2022年3月期決算と共に出さなければならない23年度業績予想で、業績が大きく落ち込まないように策をギリギリまで練っていると思われる。