アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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千葉の大手医療グループ「心和会」の経営危機にダメ押しした不動産会社の正体

 月刊情報誌『FACTA』は4月13日、千葉県で一般病院「新八千代病院」(八千代市。295床)、精神科「八千代病院」(同。422床)、リハビリ専門「成田リハビリテーション病院」(成田市。100床)、老人保健施設「荒井記念ホーム」(八千代市。入所定員100人、通所定員人)などを経営している医療法人社団「心和会」(四街道市)が経営危機にあると報じている(冒頭写真)。
同グループは大手信用調査会社データ(昨年12月)によれば、2021年3月期の売上高は約90億円。しかし経常利益、利益共に約3億7000万円の赤字。近時において社有不動産の一部に仮差押え登記、訴訟提起もされ、余裕のない資金運営が続いていると記されていた。
なぜ、こんなことになったのか。
心和会は1947年の個人医院開業に始まり、2009年7月に3代目の荒井宗房氏(43)が理事長に就任。健診クリニックに加え、富裕層向けの医療リゾート施設を首都圏から宮古島にまで展開するなか、コロナ禍で開業が延びたこともありなおさら設備投資負担などが増加したようだ。
だが、経営危機の大きな要因として、設備投資負担などが増すなか、荒井理事長は不動産転売で安易に大きな利益を狙ったことのようだ。本紙が少し調べただけでも、荒井理事長がオーナーで元代表、2017年1月設立の「荒井メディカルグループ」(東京都中央区)なる会社が大田区北千束、平塚市などのビルを買い漁り、転売できないまま差押えを受けている。
こうした状況のなか、この荒井メディカルと「AQUA RESORT」(東京都八王子市。横写真は入居ビル)なる不動産会社が20年9月に共同事業契約を結んだことがさらにダメージを深くしたようだ。
この結果、AQUAとトラブルになり、昨年9月、心和会はAQUAを相手取り債務不存在確認訴訟を提起している。
この共同事業契約、その内容はごく大まかにいえば、首都圏で4つの建物をAQUAが取得。荒井メディカルに加え心和会も協力し、各建物を医療用ビルに改装し、美容整形や不妊治療などに特化した収益性の高いクリニックを開設し運営、また、そうしたクリニックを入居させたり、そういうところに建物を転売して儲けようというもの。最大の問題は、クリニックが開設、または転売されるまでは荒井メディカルが家賃を負担、しかも心和会と荒井理事長個人が連帯保証人になっていた点(賃貸借は15年は解約できない。解約の場合は残存期間分全額支払いの条件)。
要するに、AQUAに極めて有利な契約内容だったのだが、資金難に喘ぐ荒井理事長は冷静さを失っていたということか。

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