アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<書籍紹介>『新聞大阪20周年記念出版――遮眼帯を外せ』(新聞大阪編集部)

「新聞大阪」は2001年創刊の調査報道専門のミニコミ誌。
定型はブランケット版裏表だけで月1回発行ながら、地元・大阪の住民が知るベき、大手マスコミが報じない不都合な事実――教育から地元政治、政治家不祥事、官製談合などまで幅広く取り上げて来た。
社主の坂田全成氏は地元に幅広い情報源を持ち、本紙・山岡は、『噂の真相』(休刊)の取材で知り合った。その新聞大阪が創刊20周年を記念しこの11月末に出したのが本書だ。
新聞大阪のスクープ記事をまとめたものかと思っていたが、そうではなかった。
同紙創刊時、すでに四半世紀の取材経験を有し全国紙のデスクとして社会部を切り盛りしていた人物にコラムを依頼。そのコラムと、その人物に説明不足は注釈で補い、「余談」を付け加えてもらい、さらにそのコラムが出た年の「出来事」の項まで新設してもらったのが本書だという。
そんなコラムだけの内容と思うかも知れないが、これがなかなか読ませる。
この書籍タイトルが「遮断帯を外せ」であるように、そのコラム内容は同じ出来事でも斜めから見ており、そのことで本質が浮き彫りになっているからだ。
コラム開始当初は教育関係(01年の附属池田小の無差別殺人事件など)が多かったが、ロス疑惑報道(02年)、米同時多発テロ(同)、朝鮮総連の委員長失脚(03年)、オバマ大統領誕生(09年)、オウムの平田出頭(12年)、大阪にカジノ(18年)、新聞大阪が名誉棄損で告訴された件(19年)など取り上げた内容は幅広い。そして、その論調は自身が大手マスコミに属しながらも、締めが「日本マスコミへの葬送の辞」というタイトルのコラムになっているように、マスコミの在り方に批判的なのがなお興味深い。
このコラム筆者、「あとがき」でこんな記述もしている。
<安倍晋三(元首相)は自らの政治を説明するとして愚弄の限りを尽くしたが、その言行は官僚ばかりか全国民の言葉に対する感性を鈍麻した。(略)こうした現実を目の前に見ながら正面切った論評を避け、現実の意味を伝達しないマスコミはジャーナリズムという職能を自ら放棄したに等しい>。

発行・大阪新聞社(*連絡先はココをクリック
1650円(税込み)

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