アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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連載『詫びる覚悟はできてます』第9回「差別大国ニッポン」

筆者・中井仲蔵(コラムニスト)――この連載は、普段は某中小企業に務めつつ、こっそり雑誌やウエブ媒体に原稿を書くコラムニストの私が、あまり話題にならなかったニュースを拾い起こしてみようというものです。月2回の掲載を目標にしています。

 北京オリンピック&パラリンピックの「外交的ボイコット」が話題になっています。
新疆ウイグル自治区などでの中国の人権弾圧に抗議するために、米英豪新などが「代表選手団は送り込むけど政府関係者の派遣を見送る」と発表。日本がどうするつもりなのかに注目が集まっているのです。

日本政府としては、世間の反対を押し切って強行開催した東京オリパラの時に中国には支援してもらったし、今後の関係もあるのでウヤムヤにしたいところなんでしょう。そんな中、岸田文雄首相にとってさらなる頭痛の種が、元首相の安倍晋三さんやその子分の高市早苗さんら自民党右派の皆さんが、
「人権状況については政治的メッセージを出すべし! 日本の意思を示すときだ」
と強気な発言をしていることです。

ぼくはこの問題に関して、安倍さんや高市さんに大賛成です。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルの報告によると、新疆ウイグル自治区では中国政府が、イスラム教徒の少数民族に対し、集団拘束や監視、拷問などの人道に反する罪を犯しているそうで、こんなことが許されていいわけがありません。安倍さんや高市さんは、中韓に強気の姿勢を見せると喜ぶ右派の支持者へのリップサービスで言ってるだけかもしれませんが、言っていること自体は間違ってません。ぜひとも外交ボイコットで、「日本は差別や人権侵害を許さない!」との意思を表明すべきですよ。

ただまあ、こと「マイノリティへの人権侵害」ということに関しては、日本だって他人のことを言えたもんじゃありません。中国から「お前が言うのか」と言われてもおかしくない、いわゆる「おまゆう」という立場なのは自覚しておいたほうがいいでしょう。けっこう多くの人が自覚してないようですが、日本はかなりひどい差別大国なんです。

 たとえば12月6日には、在日アメリカ大使館が
〈外国人が日本の警察から人種差別的な職質を受けているとの報告を受けた。勾留・尋問・捜索された者もいる。米国民は身分証明書を携行し、拘束された場合は領事館への通知を要求すべし〉
という旨の警告をツイートしました(*在日米国大使館のツイート)。
自国の警察が「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動」を引き起こしたアメリカにそんなこと言われるのは、これまた「おまゆう」感が拭えませんが、それでも米国大使館の連中には黙っていられないような事例がいくつもあったんでしょうね。同盟国のアメリカ合衆国に、「日本の警察は人種差別者だから気をつけろ」と言われるとは、なかなか大変な事態です。

そこで思い出しましたが、2020年5月、ちょうど欧米でそのBLM運動が盛り上がっている真っ最中に、渋谷警察署員が在日クルド人男性に対して不当で暴力的な威圧をしていたという事件がありました。このときは新型コロナ禍の真っ最中だったにもかかわらず、後に渋谷警察署前に200人ものデモ隊が集結するという騒ぎにまで発展しましたので、覚えている人も多いでしょう。この時の動画がたまたまこのクルド人男性の同行者が現場を撮影してたので、動画がさまざまなところに残っています(*「毎日」のツイート)。
普段は温厚で親切な日本のお巡りさんが、外国人にはこんな調子で接しているんだとしたら、そりゃ米国大使館の人も声を上げざるを得ませんよね。

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