福島県郡山市を代表する総合建設業者K社は、「G」(東京都渋谷区)なるコンサルティング会社に提訴され、現在も京都地裁において争われている。
京都地裁なのは、原告・G社の請求は、京都市内の不動産(冒頭写真の黄色〇部分。四角い黄色はJR京都駅)の所有権移転登記を末梢せよというものだからだ。
この鉄筋コンクリート3階建ての土地と建物の一部所有権を原告は2017年10月に購入。翌18年8月、その所有権は被告・K社に移転している(ただし19年8月、原告の訴えが認められ、被告が第3者に転売できない=処分禁止仮処分になっている)。
だが、原告の言い分は、自社が周りの土地も買収し、大規模なホテル用事業地として売却する事業を計画。被告はそのためのスポンサーであり、便宜的に所有権移転したに過ぎない。それなのに、被告は契約に違反して勝手に第3者に売却しようとしたことから、原告は建物の一部所有権を持つ各所有者との信頼関係を失い地上げに失敗したため、その所有権を被告から原告に戻せというもの。
両者は「徳山」なる者の紹介で知り会い、当初、徳山氏からは被告から22億円の融資を受けられるとの返事があり、実際に被告からは約7億5000万円が支払われている。
これに対し、被告は通常の所有権移転であり、転売して何が悪いと全面的に争っている。
これだけ見れば、よくある争いに過ぎないが、本紙がその訴訟に注目する最大の理由は、この原告・被告を引き合わせた「徳山」なる人物は、今、東京地検特捜部が捜査を行っている「テクノシステム」事件絡みで登場する人物に関連するからだ。
また、両者の言い分の食い違いに関しては訴訟結果を待つしかないが、いずれにしろ被告・K社がこの京都の地上げ話に乗ったのは事実であり、マカオのカジノ経営権を長年独占していた「カジノ王」=スタンレー・ホー氏(横写真)率いる香港の複合企業「信徳集団」(ホー氏は17年6月退任。娘が代表に)が京都でホテル事業を計画。ホテル用地を60億円で購入するともいわれていたところ、同地は18億円ほどで地上げ可能なので大きな利益を得られるとの思惑あって関与したと思われる点も興味深い。
K社は3・11東日本大震災(2011年)を契機とする郡山市内における除染事業を手掛け、17年3月期は約105億円の売上、9億円以上の純利益を上げるなど、従来より売上高など倍増させ、この間大儲けしている(21年3月期は売上高約30億円、純利益は約4億円)。
しかしながら、この総額実に5兆6000億円(この約10年で)ともいわれる除染事業を巡っては、「朝日」が13年1月4日1面で「手抜き除染」が横行している実態をスッパ抜いたように(同記事で、この年の新聞協会賞授賞)、いわば“濡れ手で粟”。そして、K社は余剰資金が出来たことから安易に手を出したところ、コロナ禍でインバウンド需要は一転してなくなり、今回のトラブルに発展したということではないのか!?
では、原告・被告両者を引き合わせた「徳山」氏とはいかなる人物なのか?