本紙でも既報のように、慶應塾長選は安西祐一郎氏が3選を果たせなかったどころか、予備選段階で消え去った。
安西氏の独断専横ぶりが良識派の反発を招いた結果で、今後、軌道修正が行われると見られる。
普通、大学トップの人事など、出身校でもない以上、注目されることはない。慶應の場合は政財界の広いOB人脈と、その独特の強い結びつきから例外的に一般の関心を呼ぶのだが、もう一校例外がある。日本大学がそうで、その理由はそのスケールの大きさにある。
大学だけで在校生は約7万名。もちろん、わが国大学で飛ぶ抜けて多い。収入は約2500億円(年間。以下同)、国庫補助金は約130億円。そして日大が発注する施設工事費だけでも40億円にもなる。要するに、利権がデカイわけだ。
それだけに日大総長・理事長の権力は絶大で、慶應塾長選同様、特に近年は3年に一度の改選期には「怪文書」が飛び交うことが恒例になっている。5年ほど前には、瀬在幸安総長(当時)の自宅などに脅迫文、銃弾が届けられたこともあった。
こうしたなか、当局は昨年10月に理事長に就任した田中英寿氏(62。上写真。冒頭写真は酒井健夫総長=左と)に注目しているという。