「東芝」(6502。東証1部。東京都港区)の昨年7月の株主総会の運営について調査した弁護士からの調査報告書によると、「株主総会で、一部株主が圧力を受け議決権行使を行わなかったとして、総会が公正に運用できなかった」と結論づけている。メール分析では、“デジタルフォレンジック”というAIを使ったデータ分析技術が威力を発揮したという。
車谷暢昭前社長が経済産業省や菅首相(当時官房長官)と連絡を取っていたとも指摘しているが、東芝が監督官庁である経産省と近い関係を保ち、情報交換をしながら国の政策にも貢献して東芝の経営に生かして行くことは問題ないはずだ。しかし、今回の調査範囲ではアクティビスト(物言う株主)の利益を妨げる、不当圧力が見られたということだ。
調査において、車谷氏のメールが少ないと報道されている。ここがポイントだ。調査委員会は私用のスマホは調べる権限はないはずだ。会社から貸与されている携帯までだろう。しかし、PC上のメールと違い、スマホのメールの再現性は難しい。悪い意味で、車谷氏はリスク管理ができていたということだ。電話あるいは面談だとメールのように足はつかないため、菅総理の関与まで追及するのは不可能ではないだろうか?
そんなわけだから、G7から帰国すれば菅首相はこの材料でまた野党に責められることだろう。野党がオリンピック反対を叫んだところで、準備は着々と進んで来ている。
これに対し、東芝の経営陣の例を証券業界に照らし合わせてみたい。