筆者はこの連載で前々回、「資生堂」(4911。東証1部)はヘアケアブランド「TSUBAKI」などの日用品事業を欧州系投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」に売却することを決めたが、それは「利益相反」の疑いがあると報じた。
ところが、先週の4月7日、「日経」が一面トップで報じた今度は総合電気大手「東芝」(6502。東証1部)の買収でも、またもや利権相反の疑いが浮上している。(冒頭右チャート図=CVC日本代表の赤池氏と、東芝・車谷社長は東京大学でアメフト部の先輩後輩の関係でもある)
この東芝買収、TSUBAKI買収の1600億円とはケタ違い、2兆円超にもなるTOB(株式公開買い付け)のため、CVC単独ではさすがに大き過ぎるので他にも出資者を募るとのことだが、そもそも東芝は原発部門の損失による債務超過で上場廃止を免れるために、複数のファンドへ第三者割当を実施した経緯がある。その引き受けた一部ファンドが経営陣に異議を唱えると、今度は一転、TOBで上場廃止=非公開化を目指すというのだから、東芝の車谷暢昭社長以下経営陣の保身と捉えられても仕方ないのではないか。
何しろ、まずTSUBAKIの時にも登場したCVCアドバイザーの藤森義明氏は東芝の社外取締役でもあるのだ。そして、何より東芝の車谷社長は元とはいえCVC日本の会長なのだから。
このディールを成功させたいなら、藤森、車谷両氏は辞任してこの東芝TOBの件には一切関わらないことが先決だ。