17年9月に2度目の不渡りを出し、破産開始決定を受けた、当時、東証2部に上場していた「郷鉄工所」(岐阜県垂井市)――この連載(1)では、同社に資金貸付などを行い総額4億8300万円の被害に会ったとする「姥懐山開発」のオーナーO氏が、なぜ郷鉄工元専務で、資金調達担当だった田中桂一氏(下右写真)を詐欺容疑で告訴準備中なのか、そこまでに至った経緯を述べた。
そして連載(2)では、オーナーO氏が、この詐欺容疑と関連して、郷鉄工側は「計画倒産」した可能性もあると考える根拠について見てみた。
最後となるこの連載(3)では、関連するその他の不可解な事実について紹介する。
まず、冒頭に掲げた写真は、田中氏が「姥懐山開発」宛に書いた「受領証」。
これを見れば、17年8月、郷鉄工振出しの手形により、同社代理人の田中氏が総額7200万円の融資を受けたことは明らかだ。
だが、2480万円しか借りていないとの田中氏の主張が裁判で認められたことはこの連載(1)、(2)で述べた通りだ。まさか、裁判所はこの「受領証」の金額も将来の融資を期待して田中氏が実際に受け取ってもいない金額を記入したというのだろうか? というか、その言い分が通るなら、「受領証」なるものを書いてもらっても何の意味もないことになってしまうのではないか?(控訴審判決は、同日付の計4300万円分の手形はあったが、この金額と一致しないとして一切の融資を認めず)。
また、裁判においてオーナーO氏は、融資が田中氏主張の2480万円だけでない証拠として、