この連載(1)では、なぜ第1次安倍政権の辞任時は医者同席で記者会見したのに、同じ「潰瘍性大腸炎」が再発したとされる今回の辞任時は医者同席がないばかりか、病院側から正式な病名さえ明らかにされないのかにつき、慶応病院の当時と今の体制の差ではないかという可能性を指摘した。
しかも、第1次安倍政権の辞任時に医者が明かした病状は、持病の潰瘍性大腸炎の再発ではなく「機能性胃腸障害」だった。(1)ではそのことをただ指摘しただけだが、では、この「機能性胃腸障害」とはどんな症状を指すのか?
ウィキペディア解説によれば、「内視鏡検査などでもガンや潰瘍といった器質的疾患が見られないにもかかわらず、胃の痛みやもたれ感、食後の膨満感、不快感などを覚える疾患」という。誤解を恐れずにいえば、ストレスや生活の乱れなどで我々一般人もよくなる胃腸のもたれ、膨満感、みぞおちの痛みなどの不快症状に過ぎず、吐き気、おう吐、げっぷなどを伴うこともある。
「何だ、それ!?」と驚かされるが、では、単なる機能性胃腸障害=なぜ、潰瘍性大腸炎の再発となるのか?
安倍首相は1回目の辞任(07年9月)から約3か月後、『わが告白 総理辞任の真相』というタイトルの独占手記を『文藝春秋』に寄せている(08年2月号。冒頭写真)。
辞任会見時、「体調が悪化し、体力の限界を感じるに至り、もはや首相としての責任を全うし続けられないと決断した」といっただけで、それは政治家にとって病気はタブーであり、病名や症状が公になれば、政治生命を危うくすることさえあるので明らかに出来なかったと。だが、今回の辞任の理由をご理解いただくには、包み隠さず告白すべきと考えるに至ったといって、この独占手記で初めて安倍首相自らが明かした病名が「潰瘍性大腸炎」だったというに過ぎないのだ。
もっとも、本紙とて、だからと安倍首相が全くの仮病だとはさすがに思っていない。
17歳の時に初めて発症したというのも事実だろう。