NHKは昨年12月下旬、大阪のローカルニュース枠で、大阪に事務所があり、グループで整骨院を全国展開している「ギオン」(登記上は大阪市西成区だが、実質は阿倍野区。下写真は入居ビル)の店舗の一部で、療養費を不正請求している疑惑があると報じた。
整骨院で肩こりマッサージをした場合、利用者は全額負担。しかし、整骨院に勤務する柔道整復師(国家資格)がケガの治療をした場合は健康保険の対象になり、健康保険組合などから「療養費」が支払われる。
この点に目を付け、ギオンの一部店舗では、保険請求の申請書=レセプトには利用者の署名が必要だが、実際はマーサージに来ただけの者に対し、けがの治療もしたとしてレセプトに記載、その記載部分を隠して利用者に署名させ不正請求をしているようだという内容。
NHKはギオングループの9つの店舗のレセプトを入手。10人近くの利用者からけがの治療をしていないとの証言を取っただけでなく、大阪市もその疑惑があるとしてすでに利用者に聞き取りを始め、大阪府にも報告していると報道。また、ギオン側は取材に「ノーコメント」としているという。
実は本紙も同様の情報を得ており、レセプトがあるが、マッサージしかしてもらってないとする利用者の複数の「確認書」コピーも入手している。
このギオングループ、かなり前から組織的に不正請求を行っていたようだ。最盛期は全国で約170店舗の整骨院を運営。約100店舗運営の昨年度の売上高でも約24億円だったというから、その不正請求額はかなりの額に上がるようだ。
そのギオングループを率いるのは中島修一氏(49)。設立約15年で、中島氏は設立約2年半にして代表に(企業信用情報データによれば現在、中島氏が100%株主)。以来、代表の座にあるが、グループ店舗を拡大させたのはこの4~5年のことであるようだ。
そして、その急拡大にはこんなやり方もあってのことのようだ。
本紙では15年5月、パソコンの「マウス」ブランドが主力「MCJ」(6670。東証2部。東京都中央区)が、架空リース詐欺で訴えられたとして、子会社にしていた「ワールド情報システム」(大阪府堺市)なる会社の株を創業者に買戻しさせ縁切りしたといった内容の記事を2度報じている。