アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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被害1500人、計300億円ーーあのタイ鉄鉱石投資「詐欺」に新事実(下)

 連載の間があいてしまったが、(下)をお届けする。
これまでの(上)(中)で述べて来たように、2010年末から13年末にかけて、日本人約1500人、計約300億円の被害額とも見られるタイ鉱山の鉄鉱石採掘への投資をネタにした詐欺疑惑案件の首謀者は、日本人の丹羽時寛氏(52。冒頭写真)、それにタイの王族を名乗り、鉱山採掘権を持つという現地企業「ONK」代表のカリン・トンパチョーテ(現在80歳位)なる人物で間違いないだろう。
ただし、丹羽氏は当時はほとんどタイ現地におり(現在は帰国。東京・赤羽の病院で透析を受けている)、投資勧誘は専ら、日本にいる別の者に任せていたことから、この連載においても、これまでに丹羽氏が直接登場した証言は、投資家相手に現地鉱山視察ツアーがあった際、現地で案内しただけで、その関与は見えづらい。
ところが、この連載を知った関係者から実に貴重な情報がもたらされた。
 新潟地裁で、投資家が総額3000万円ほどの支払いを求めていた民事訴訟で、被告で、この投資話の日本における代表を名乗る者が「認諾」していたのだ。
「認諾」といわれても、裁判の専門用語で読者はピンと来ないかも知れないが、被告A氏が、原告すなわち投資被害者の主張を全面的に認め、請求の3000万円も全額支払うということ。実際はカネがないということで支払われていないようだが、分かりやすくいえば、詐欺していたと無条件降伏、白旗を上げたということだ。
法的には、裁判所が原告請求につきすべて認めたのと同じ効力があり、被告に資産があればそれに強制執行をかけることができるし、第三者破産申し立てにより破産管財人が被告の財産調査をすることもできる。
したがって、原告(被害者)の主張=真実となるわけで、この主張によれば、原告は丹羽氏にも会っており、こんなことが事実として認められる。
認められるなかで一番興味深いのは、ONK投資の日本代表を名乗る被告A氏は、丹羽氏は、前出・ONKの日本における社長として49%の権利を持っていると投資家に説明していたという事実。したがって、タイ王族のカリン氏の権利は残りの51%ということになる。要するに、2人は「共同事業者」というわけだ。
(上写真=丹羽氏のサイン入りの投資家向け文書。ありもしない再開見通しをいうのは詐欺に問われないためで、被害者に期待を持たせる分、より悪質といえる)

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