歴代3位の長期政権となった自民党・安倍政権。「絶対的権力は絶対に腐敗する」(イギリスの歴史家ジョン・アクトン)の言葉通り、長期政権の腐敗は数々の疑惑を生み出し続けている。 本書は、社会新報記者(現・編集長)田中稔氏による、「『憂国』と『腐敗』――日米防衛利権の構造」「隠蔽と腐敗――防衛省=『日報』から『イージス・アショア』へ」に続く“腐敗”シリーズ第三弾だ。 内容は森友・加計疑惑から防衛利権、日本会議の正体、大阪地検の証拠改ざん事件等、多岐に渡る。 最近、関西電力の金品受領事件が発覚し、「原子力村の闇」の一部が明るみに出たが、本書でも、自治体を蝕む電源交付金や族議員、除染事業にからむ不正・腐敗等、「原子力村の闇」が暴かれている。 ただ何と言っても読み応えのあるのは、著者が取材に力を入れてきた「防衛利権」絡みだ。防衛省に君臨した「守屋天皇」こと元防衛事務次官・守屋武昌と軍事商社「山田洋行」の癒着が生んだ汚職事件(山田洋行事件)の経緯とその後について詳細に触れられているだけでなく、防衛利権がらみの数々の事件がまとまっている。 安倍政権のもとで防衛予算は過去最大を更新しているが、腐敗にメスを入れない限り、今後も国民の血税が防衛利権にむらがる者たちに吸われていく構造は変わらないだろう。(第三書館。本体1800円)…