4月11日、最高裁は2審の逆転有罪判決を支持し、自衛隊イラク派遣反対のビラを配るため、東京都立川市の防衛庁(当時)官舎の新聞受けに自衛隊イラク派遣反対のビラを入れた3名の罰金10~20万円(住居侵入罪)の有罪判決が確定した。
「住民の私生活の平穏を侵害したのだから、刑罰を科しても違憲ではない」という論理だが、一審は「正当な政治的意見の表明で、罰するほどの違法性はない」と全員を無罪にしていた。
最高裁判決はビラの内容については言及せず、官舎にビラ配りを禁止する表示が出ていたこと、被害届が出たことを持って「住民の被害も軽くない」と判断した。
だが、それならなぜ、営業用のビラやチラシを入れている者は逮捕されないのか。また、これまで同様の政治的ビラ配布が罪に問われなかったのはなぜか。それに、公判の過程で、被害届は警察がお膳立てしていたことが判明しているのだ。
このように、今回の逮捕は、イラク派遣問題で世論が割れていた当時、防衛庁官舎に反対ビラが投函されたことが権力側を刺激し、極めて政治的かつ恣意的判断から逮捕、75日間もの長期拘留を見せしめに行なったと思わざるを得ない。