アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

<現地記者緊急寄稿>「香港デモ、過激化の背景に何があるのか?」(前編)警官と関係者インタビュー

 香港の民衆デモが日に日に過激化している(*編集部。8月12日には香港国際空港をデモ隊が占拠。一時、運行中止に。冒頭2枚以外の写真、動画はすべて寄稿記者のオリジナル)。
連日、警察の治安部隊とデモ隊が激戦を繰り広げている映像が流れる。自由と民主主義の為に中国支配に抵抗して立ち上がる草の根民衆デモに肩入れしたくなる気持ちは理解出来る。純粋さゆえに、日本でも香港デモとの連帯を呼びかけている熱血漢の若年層がいる。
しかし、全面的に連帯する前にちょっとこの記事を読んで冷静に考えて欲しい(*本紙アクセスジャーナルは基本的にデモについて全面支援です)。
ここ2ヶ月で使用された催涙弾は1000発以上。市民500人が逮捕されている。多数の負傷者も続出中だ。
民衆が奮起した発端は、「容疑者引き渡し条例」改正案。改正案が設立したら、香港で身柄を拘束された容疑者は中国本土への移送が可能に。中国支配の権限が強化されることを恐れ、民衆が同改正案に反対。
警察の催涙ガスに襲撃されるデモ隊らを目にすると、思わず取り締まる側の「警察」に怒りを抱いてしまう。警察と地元マフィアが裏で繋がっているなどの黒い疑惑も持ち上げられている。警察は信頼できないーー不審感が全世界で広まっている。
だが、本当に警察は完全に悪なのか?
まずは、現役警察官とその関係者にインタビューが取れた(ただし匿名)のでその思いを聞いて欲しい。対面インタビューを7月28日に香港島の中心街・中環駅付近喫茶店で行った。

●治安部隊 現役警察官 インタビュー

 民衆がどんなに抗議しても改正案は撤回されない。民衆の怒りや不満は爆発し歯止めが効かなくなっている。警察官そしてその家族にまでも怒りの矛先が向けられているのだ。警察本部(香港・中環)で働くドニー・ヨンさん(=仮名 31)は、本部に押しかけて来るデモ隊の治安部隊の一人として駆り出されている。身長170センチ前後、体重80キロ前後中肉中背。精悍な顔立ちや歯切れのよい受け答えが誠実な人柄を表している。(横写真=棒を持って街角に出現するデモ隊。ヤクザ?)
「警察官の立場で答えるので限度があります。が答えられることは話します。」と丁寧に前置きした上で話し始めた。
「警察側も完璧ではないが、デモ隊も全員正しいという訳ではありません。警察のやり方は、上の指示に従うことです。が、上の戦略が完璧に正しいと思っていません」とヨンさんは、謙虚に静かに話し始めた。
自分の任務については、「通常、デモは警察署の許可を必要とします。申請が許可され、決まった時間と場所で、実行されます。最初は許可の下、行われてきました。私たちはデモ隊を先に攻撃していません。金融取引やビジネスの中心部を占拠されたら、誰も通勤できない。占拠しないように促すが、従わない人もいる。仕方なく、警察が撤去に動き出すわけです。警察官としてルールを守っている。ルールを守っていないのを取り締まるだけです。市民を攻撃する意図など全くありません」(ヨンさん)。
ヨンさんは元々治安部隊所属ではない。デモが加速するに当たって取り締まる警察の人員不足が問題へ。現在、警察官全員が部署関係なく、駆り出される状況になっているという。孫さんが毎日通勤する警察本部には連日、デモ隊が押し寄せている。

警察家族 個人情報ネット流出の闇

昨年2月にヨンさんは4歳年下、中学校の英語教師、女性セシリアさん(=仮名 27)と結婚。新しい家族に危害が及ぶのではないか、常に不安だ。「週末は出来るだけ夫婦で香港を脱出し、マカオで過ごすようにしています。警察として香港にいるのは耐え難いです」。

この続きを読むには有料購読の登録が必要です。

関連キーワード
検索

カテゴリ一覧