かつては「企業再生」のプロ中のプロなどと持てはやされた時期もあったが、結局は投資家を欺いてまでも自分たちだけは儲けるためのマネーゲームに過ぎなかった実態が訴訟などを通じて次々と明るみに出ている東証2部の投資会社「ジェイ・ブリッジ」(JB。昨年10月より「アジア・アライアンス・ホールディングス」。東京都墨田区)――その典型的訴訟の1つであり、またJBにあって最も経営責任が問われるであろう桝澤徹元社長(冒頭右写真)、高森幸太郎現社長(冒頭左写真)も被告に含まれるということで注目されている損害賠償等請求事件の証人尋問が5月12日、東京地裁であった。
もっとも、桝澤氏はこの間、豪邸のあるシンガポールに引き籠もり、海外に生活拠点があるから日本の民事訴訟の対象にならないなどというデタラメな主張を展開、別件訴訟では訴状の受け取りを事実上逃げているような有様であることから、関係者の間では、この日の証人尋問は欠席する可能性の方が高いと見られていた。
だが、蓋を開けてみると、桝澤氏は顔を見せていた。
詳細は証人尋問調書が出来次第、お伝えするとして、今回はこの日の法廷の様子を若干お伝えしておく。
午後1時30分から516号室で証人尋問は始まった。予定では、まず原告側証人2名、その後、被告側4名の予定だったが、原告側が2名とも欠席のため、桝澤氏の尋問が一番に始まった。
この訴訟、「ウェルタイム・キャピタル・ベンチャー・インク」なる海外ファンドが原告。同社はJB子会社(JA)の社債を1億5000万円購入した。社債だから償還義務がJAにあるが、現在までに戻って来たのは600万円ほどに過ぎない。しかも、JAはウェルタイムの償還期日延長通知書を偽造して1年延期し、その間にJBの投資分だけ優先するなどして回収したのは偏頗弁済だとして提訴している。
したがって、桝澤氏の尋問の最大のポイントは、JBの回収が純粋な経営判断の結果なのか、それともJBの回収だけを急いだものかだった。