本紙では、かつて「企業再生」のプロ中のプロとの評価もあったが、いまや上場廃止は秒読みとも見られる東証2部の投資会社「ジェイ・ブリッジ」(昨年10月より「アジア・アライアンス・ホールディングス」(東京都墨田区)の疑惑につき、徹底して報じて来た。
結果、多くの投資家が損失を被っているわけだが、そのなかにはファンドの運営を実質、JBが行っている立場を悪用し、他の投資家には秘匿裏に自社の債権回収のみ行い、他の投資家に不正に損害を負わせたと思われる案件が複数あるだけでなく、桝澤徹元社長(冒頭右写真)のように、なぜか資産をため込んで海外で悠々自適の生活を送っている元トップもいるからだ。
そのジェイ・ブリッジ(以下JB)の悪辣さが如実に垣間見られる民事訴訟がある。
JBの子会社(ジェイ・アセット=JA)の社債1億5000万円を購入した「ウェルタイム・ベンチャー・キャピタル・インク」という海外ファンドが昨年4月に提訴したものだ。
その概要に関しては昨年11月6日、報じているので、そちらの記事をまずご覧いただきたい。
その訴訟の証人尋問が、来る5月12日(木)に行われる(東京地裁516号法廷。午後1時30分?5時)。尋問予定者は6名。そのなかには桝澤元JB代表、高森幸太郎JB代表もいる。
「被告側弁護士も要請していますが、桝澤氏に関しては本当に出席するか不明です。他の訴訟でも海外(シンガポールの豪邸=冒頭左写真)に住んでいるので、日本での裁判に出る必要はないなどいって逃げまくっていますからね。日本に来て、まして法廷に立つとなれば、恨んでいる債権者が押しかけて来ないとも限らない。だから、そこには立ちたくないはず。だが、彼のJBでの立場を思えば避けられないこと。もし欠席なら、彼の人間性が問われるし、ますます糾弾されても致し方ないでしょう」(桝澤氏の元部下)
ところで、この訴訟で明らかになっているJBの悪辣さとは具体的に何を指すのか。
その一つは、ウェルタイムが購入したJB子会社の社債償還期日(07年9月)を1年延ばし(08年9月)、その了解を取っていたとする書類を偽造していたと思われる事実だ(上写真。その偽造と思われる文書)。
JBはJAに資金を貸していたとして(ただし、JBとJAは同住所。JAの実態はJBのペーパーカンパニー)、ウェルタイムへの社債償還期日の約2カ月前に約10億円回収。これ自体、当時、すでにJBはこの事業から撤回を考えていたと思われ、偏頗弁済で違法と思われるが、それを差し置いても、この1年延長の間に、JBはさらに1億円以上回収している。この結果、ウェルタイムが債権回収しようとした時はJAは無資産になっていた。
なぜ、偽装文書といえるのか?
この延長願いの文書は07年5月の日付となっているが、その当時、JA代表だったK氏が、原告側の問い合わせに対し、そんな書類作成を自分は指示したこともなければ、その存在も知らないとの公正証書(上写真)を提出しているからだ。(代表印も押されていない)