相変わらず「マルチ類似商法」の被害が後を経たない。
本紙で何度も問題点を指摘した「近未来通信」もこの商法を取り入れていた。問題が顕在化した「円天市場」も、妻が麻薬所持で逮捕されたマークパンサー夫婦もそう。
また、視聴覚障害者にターゲットを絞った悪徳企業も出現。大阪府警は今年6月下旬、書面不交付容疑でソフトウエア開発・販売会社「ヴィヴ」(東京都千代田区)などを家宅捜索している。
ヴィヴは手話やモニター画面によるセミナーを開催。「会員になれば毎月8万円の配当がある」などと説明。障害者同士の強いきずなを悪用し、主宰するオンラインゲーム事業の会員に入会(53万3000円必要)させていた。だが、実際に配当はほとんどなく、マルチ類似商法(専門用語は「連鎖販売取引」)であることを説明する書面を交付もしてなかった。
管轄の経済産業省は良いマルチ、悪いマルチに分けて指導している。だが、この商法は人的しがらみが多いわが国ではマイマス面の方が多く、かつ悪いマルチが横行しており、ネットワークビジネスとか、紹介販売、流通ビジネスなどと名称を変えて活動しているが、決して推奨できるような商法ではない。
ところが、この商法を取る企業が作った議員連盟の幹部に就任、経済産業省にさまざまな働きかけを行っている議員がいる。
「次代を担うネットワークビジネス」という著書(写真)を今年に入って出した前田雄吉代議士(民主党。比例東海。当選3回)はその筆頭といっていいだろう。