東京都が強行に進める豊洲への築地市場移転に弾みが付きかねないということで注目の「東京魚市場卸協同組合」(東卸)の理事長選だが、本紙既報のように、そのための6度目の理事会が3月14日に開催され、緊急事態ということで、中村昭夫氏が暫定的に理事長になることが決まった。
緊急事態というのは、3月11日に発生した東日本大震災を指す。冒頭、司会を務める伊藤宏之理事長(理事長が決まるまでの暫定理事長)は震災犠牲者への黙とうをささげることを言い出し、その後、このような緊急事態なので、自分と、理事長候補の伊藤淳一副理事長(移転推進派)、山崎治雄理事(移転反対派)の3人だけによる話し合いで決めさせてもらえないかと提案。(下写真=幸いにも、直接被害は軽微だった仙台中央卸売市場)
これに対し、移転反対派の町山順一監事が、後で揉めるといけないので自分も同席させるように要求したが伊藤理事長はこれを拒否。そして3人の話し合いに入ったが、両候補とも辞退したとして、中村氏を1カ月間だけ(4月15日まで)の暫定理事長に選んだ。
もっとも、暫定といえば、すでに伊藤理事長自身がそうであり、わざわざ選ぶ必要もないと思うのだが、関係者によれば、これにはこんな理由があったようだ。