本紙はこの連載1回目で、大阪府門真市の公共工事に暴力団関係者が入り込んでいる概要を述べた。さらに第2回目では、その暴力団関係者の背後には、いま当局がもっとも摘発に力を入れている、わが国最大勢力を誇る指定暴力団・山口組の最大組織・弘道会の直系組織が関与していると思わないわけにはいかない具体的証拠も提示した。
この公共工事に関する疑惑を、最初に公に出したのは実は本紙ではない。その時点では、背後に弘道会の関与があり得ることはまったくわかっていなかったと思うが、しかし、すでに1年以上前に、門真市に対し、警察での関係者の供述調書や、領収証などの証拠書類も添付し、真相究明を求めるとして「調査依頼書」が提出されていたのだ。
昨年2月7日のことで、これを提出したのは「後藤貞人法律事務所」(大阪市北区)の後藤貞人氏(=横写真)を始めとする3人の弁護士。後藤氏は大阪で起きた母子殺害事件の死刑判決を覆したり、三井環・元大阪高検公安部長の弁護を担当するなどし、「大阪の刑事弁護の第一人者」といわれる著名弁護士。今回の疑惑の公共工事で、受注できなかったにも拘わらず(逆に弘道会側が受注)強要未遂で逮捕、公判中の糸正臣氏の弁護を担当していた関係でこの疑惑を知り、いわば“反社情報”を出すに至ったわけだ。
ところが、以来、1年以上経過しているが、市が調査した形跡がまったくない。むろん、門真市も暴力団排除を謳い、庁舎前には「暴力排除宣言都市」のりっぱな標識まで建っている(冒頭写真)のに、いったいどういうわけなのか?
この件を疑問に思い、市議会で質問した戸田ひさよし門真市議(無所属。横写真)がいう。
「今年3月22日、市総務部から回答がありました。それによれば、内部調査を行っており、現在も調査継続中で、市長まで経過報告はいっているとのことでした。契約に携わる職員全てと顧問弁護士も目を通していると。実態は握り潰していたと思うのですが、ともかく今回質問したところ、調査継続中というのですから、質問して良かったと思います」。(*詳細は戸田氏のHPで見れます)
強要未遂で逮捕された糸氏の件では、市の施設営繕課N課長(当時)が、警察の事情聴取に応じ、糸氏が市の窓口に来て、暗に糸氏の息がかかった業者を下請けに入れるように要求した旨供述したことになっている(但し、証人尋問ではそのような証言はしていない)。そのN課長に戸田市議が先の後藤弁護士らの「調査依頼書」の件について尋ねたところ、市の顧問弁護士が「刑事事件被告の弁護士の申し入れだから、相手をする必要はない」と指導助言したので、総務部としては調査も回答もしなかった旨、発言があったそうだ。だから、同じ回答ではと思っていただけに、提出から1年以上経過して、未だ調査継続という回答は明らかにおかしいと思うのだが、なおさら、戸田市議としては質問した成果があったと喜んでいる様子が感じられた。
さて、では以下、その「調査依頼書」(“反社情報”)の内容とはいかなるものなのか?