■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。.
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週の日経平均株価は週間で-527円の21,778円と大幅安で引けた。
木曜日には、一時-842円安まで下げてしまい、きっと読者諸兄も肝を冷やされたに違いない。筆者は、前々稿、前稿で記した通り、かなり逃げ腰のポジションメイクをして準備ができていたこともあり、幸いにも今週の下げではダメージを負わずにすんだ。
ただ、7月3日(火)の引けにかけて日経平均が急騰した際(いまをもっても謎上げであった)、「これは貿易摩擦に関して何か水面下で動きがあったはず!?」と早合点をしてしまい、「国際のETFVIX(1552)」と空売りポジションを手じまっており、週後半にかけてかなり焦ったが、結果的にキャッシュが高まっていたおかげで、木曜日の下げの過程で、直近下げ止まりの動きが顕著だった「SUMCO(3436)」「コマツ製作所(6301)」に打診買いを入れることができた。これから決算を迎えるにあたってこの2銘柄の業績が悪くなっている可能性はかなり低いと思ったからだ。
また、テゴプラザンの韓国承認を間近に控えた「ラクオリア創薬(4579)」を少し買うことができ、翌日ストップ高の恩恵を受けることになったのはたんにラッキーだったといえよう。購入した3銘柄は、週明けの動きをみて適時考えていきたい。
というのも、週末金曜日の株価の反発が、売買代金(2兆4274億円でしかなかった)を伴っていないことで、イヤな空気が漂うからだ。
一部、個人投資家のマザーズ評価損が松井証券調べで-25.33%と大底サインが点灯したものの、日経平均に関しては、まだ時期尚早の可能性がある。まぁ、貿易戦争が終わったわけではないのでそんなに楽観のドテン買いのポジションは入ってこないのも確かだが……。
さて、今週のストラテジーに移りたい。今週は下記の6つに気をつけて市場に臨むべきだと考えている。
(1)【需給】今週は、需給だけは確実によくなるだろう。先週は、7月8日と10日(火)にETFの分配金の売り需要が合計4000億円もあったようで、この資金確保のために資産売却があったということだ。ただ、逆に配当金を手にした投資家の中には、再投資を義務づけられている筋も多いため、今週は反動高となるだろう。これは来年1月にも同様のことが起こりそうなので備忘録の意味でも記しておきたい。
(2)【企業決算】日米ともに今週から決算が始まる。事前の予測では、米国に関しては好決算間違いなし。日本企業に関しては、期初の段階では今期の純利益が前期比-2%程度であったが、現在のコンセンサスは円安の影響もあるため早くも切り上がってきており、純利益が+4%程度あることが前提になっていそう。そうした、決算期待がほんのり出てきている状況で、10日(火)には2月本決算企業である「竹内製作所(6432)」&「ローツェ(6323)」の決算があり、12日(木)には「安川電機(6506)」から続々と3月期企業の決算が始まる。まずこれらの輸出型企業の決算を見定めなければならないだろう。
(3)【オプションSQ】今週金曜日に予定される。毎度記してきたが、SQ前の火曜日、水曜日は買い方・売り方の戦いが起こることが間々あり、波乱を呼ぶ可能性がある。今回はキッチリ下げた後の相場なのでそこまで気にする必要はないかもしれないが忘れないでおきたい。
(4)【為替】現在のドル円は110.48円。期初の見込みからは、かなりの円安水準で経過しており、このまま決算を通過してもらいたいところ。ただ、なにかの拍子でひとたび109.50円まで円高に振れれば一気に円高バイアスが高まりそうなのでケアしておきたい。
(5)【上海総合指数】先週金曜日に2,691まで長~い下ヒゲをつけて、2,747で引けたが、どうも売買代金は盛り上がっていないようだ。そうなるとせめて2800ポイントラインまで回復しないと安心感はでづらい。日経平均株価との連動性が意識されているので注目だ。
(6)【貿易摩擦】トランプ大統領は、中国が報復関税をするのなら、さらなる対中輸入関税を用意すると宣言しており、貿易摩擦は一段とエスカレートする可能性があり注視したい。
(7)【夏枯れ相場】ただ、今年は年初から下げ続けてきており、日本株は割安水準であることは確か。今はそれほど気にする必要はないと考えているが、売買代金は盛り上がりにくくなるシーズンであることは確かだ。そうなれば、電池、IOT、FA、RPA関連の小型材料株の出番となるかもしれない。マザーズ、ジャスダックの小型株の売買代金の増加に注意を払いたい。
基本的には(6)について、トランプ大統領がさらなる強硬策をとらない限りは、今週は上方向でみていいだろう。企業決算事態は日米ともに良好なものがでてくることが予想されるし、しっかりと調整をしているため、ここからは売られづらい、と考えている。
波乱があった場合は、今週は下値の目途として、移動平均線が使いものにならない。現在の日経平均EPSは現在1675円となっているので、ショック安時のPER12.5倍を使うと20,938円は下値の目途として機能することだろう。仮にこのラインを割ったならば、いったんは全力買いで問題ない。また、NYダウの直近安値は23,997ドル。S&Pの直近安値は2692ポイント。これを割った場合は、話は180度変わって、売りポジションのほうが多く保有する必要があると考えている。