1月12日、大手マスコミで一斉に報じられた、居酒屋チェーンなどを展開する「ワタミ」(7522。東証1部)グループ会社「ワタミの介護」が運営する有料老人ホームで起きた入居女性(74)の入浴中の水死ーーもちろん、単に不幸な事故ならこれほどは報じられなかった。(冒頭写真=「毎日」1月12日)
ワタミ側は遺族に対し、10分程度目を離した間に病死した可能性が高いと説明していたが、実際は1時間半も職員が現場を離れ、水死していたことが防犯カメラ映像から判明。虚偽説明で、業務上過失致死の可能性もあるとして警視庁が捜査をしていることがわかったからだ。
ワタミの介護事業は後発組にも拘わらず、M&Aを経てわずか7年余りで業界4位。グループ全体に占める売上高は2割程度だが、営業利益では過半数を越えている。
その原動力は、いまもメーンの居酒屋チェーン同様、ともかく創業者で会長の渡邊美樹氏(横写真)が説く「お客様第一主義」。低価格や盛りだくさんのサービスが利用者の支持を得ている面があるのは事実。だが、それが職員の“奴隷労働”のような犠牲の上に成り立っているのだとすればこれは問題だし、回り回って利用者にもそのツケが来る。今回の水死事故、施設側は「手が回らなかった」と釈明しており、職員不足=利益率の向上で起きたのだとしたら、渡邊会長の責任は重い。