アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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元役員が証言――「ジェイ・ブリッジ」への債権10億円譲渡は詐害行為であるだけでなく、会社法違反も

 「ジェイ・ブリッジ」(JB。昨年10月より「アジア・アライアンス・ホールディングス」。東京都墨田区)は東証2部の投資会社であるにも拘わらず、損失が出ると、自社の債権回収を最優先し、必要以上に投資家に多大な損失を与えている悪質極まりない典型的ケースということで、本紙はこの間、JB側が行ったサテライト事業(競輪施設賃貸事業)に1億5000万円を投じた「ウェルタイム・キャピタル・ベンチャー・インク」なる海外ファンドが起こした民事訴訟に注目しウォッチして来た。
5月12日にはJB元代表の桝澤徹氏(冒頭右写真)、高森幸太郎現代表(同左写真)らの証人尋問が行われ、この件も報じた。
その際にお伝えしたように、その後、5月31日には原告側の証人尋問が行われた。
この証人は西村幸浩氏といい、ウェルタイムが投じた1億5000万円の社債を出したJBの100%子会社だったジェイ・アセット(JA)だけでなく、JBの取締役も務めていた人物だ。
今回訴訟ではJB側がウェルタイムへの償還期限が来た(07年9月)にも拘わらず、書類を偽造して1年償還時期を延長した(07年5月)疑惑が出ており、またこの間の07年7月、JAがサテライト事業のために貸していた10億円の債権がJBに譲渡されるといった不可解なことも起きていた。
そして、この時期はちょうどJBの経営権が桝澤氏らの旧経営陣から、香港金融会社「サンフンカイ」から送り込まれた高森現社長側に移る端境時でもあったことから、責任が問われるとすれば新旧どちらの経営陣かも焦点の一つだ。
西村氏は旧経営陣側なので、07年9月にJB取締役を辞任しているものの、その後もサテライト事業の処理報告を知る立場にあるなど、この間の真相につき知り得る数少ない当事者であり、その西村氏が原告側証人として出るということで、その証言がひじょうに注目されていた。
そして、西村氏のこの日の証言は、先の桝澤氏や高森氏の証言を真っ向から否定するものだった。
傍聴したある原告関係者は、こう語る。
「西村証言により判明した最も重要なことは、JAからJBへの10億円の債権譲渡は詐害行為であるだけでなく、取締役会を経ずに実施された会社法違反行為であったという点です。ウェルタイム側からすれば、仮に正規の取締役会決議があったとしても、詐害行為として返還請求しますが、例えば今回の訴訟でJBが敗訴した場合、JBの株主も、この手続き違反に関して株主代表訴訟を起こすことができるでしょう」。

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