「失われた10年」以後、行政・財政、地方自治から教育に至るまで、様々な分野で「改革」が切実に求められて来た。政治家では小泉純一郎や田中康夫が「改革」の旗手として登場し、旋風を巻き起こした。2人とも退場した今、その「改革」の中身と方法は正しかったのかが問われている。
元・長野県知事特別秘書として知られる筆者は、本書のなかで、小泉・田中「改革」を振り返り、ポピュリズム的手法を持った「劇場型政治は終わらない」と結論づける。なぜなら利権分配型の派閥政治は再生しないため、政権奪取・維持のためには有権者の支持が不可欠だからだ。
しかし劇場型政治は多くの問題をはらんでいると言える。政治家のイメージ戦略や「わかりやすい」主張の反復は、大衆操作であり、真の民主主義とはほど遠いからだ。