東証2部「小糸工業」(横浜市戸塚区)の不正が表面化したのは09年6月のことだった。
同社は500億円以上ある年間売上の約2割を航空機の座席シートが占め、世界シェア5%だった。だが、利幅が薄く、納期が厳しい中、恒常的に座席モデルの図面変更や試験結果などのデータ改ざん・捏造を行っていた。それが内部告発により露呈した。
その結果、再試験などの安全対策費、航空会社からの損害賠償引当金、航空座席シート在庫損などが加わり、01年3月期も約160億円の大幅赤字。来期も70億円程度と3期連続の最終赤字の見込み。「疑義注記」も付いてしまった。この8月1日から、航空シート部門とその他を分社化により切り離し、再起を目指す。
そんなわけだから、小糸工業のこの夏のボーナスは何とゼロ。ただし、言い方を代え、「協力金」名目で一律20万円のみは支給するという。
今回、小糸工業の最大実力者、米澤典明代表取締役会長に批判の声が出ているのは社内ではなく、子会社からだ。
(冒頭写真=『東洋経済』10年2月27日号記事)