関西地盤に低価格中華料理店「餃子の王将」を直営店中心に展開し、いまや店舗は軽く600店、売上高は700億円を超える「王将フードサービス」(9936。大証1部。京都市山科区)――社長の大東隆行氏(下写真)は同社を創業した加藤朝雄氏の義弟。加藤氏が実践した「率先垂範」の精神を謳った「王将イズム」をよく口にし、上に立つ者が自ら行動し、模範になるように務めているとの報道もある。自身、かつては1日18時間労働は当たり前で、血のしょんべんが出るくらい働いたとも語っている。
もっとも、上場企業で、しかも昨今、そんな真似を社員に強いたら問題になることは明らかだろう。
ところが、今年2月初め、元社員がうつ病で休職に追い込まれたのは発症6カ月前の平均残業時間が、厚労省の「過労死ライン」を超える月平均135時間だったとして提訴したとして新聞を賑わせた。
こうしたなか、3月に入って元社員のI氏(30代)から本紙に告発があった。
サービス残業の件で、社内通報制度に基づいて告発してもまったく取り合ってくれないというのだ。
話を聞いてみると、同社にはできるだけサービス残業で済ませるようにする独自のカラクリがあり、その件は本紙への告発者も、提訴した舟坂一氏(27)もほぼ共通しているようだ。
そこで王将フードに質問状を送り、取材申し込みをしたが、結局、「係争中につきお答えできません」(法務課)とのことだった。
そこで以下、その質問状の個別内容に補足を付け、本紙が聞いた事実を公表することにした。
本紙は、「係争中」などノーコメントの理由にならないとの立場。答えられないのは、サービス残業のカラクリの基本的な部分は真実故ではないのか。ならば、早く真実を明らかにし、現状、苦しんでいる者もいるなか、少しでも早い是正への契機になればと考えるからだ。
○質問内容
(1)御社ではサービス残業は恒常的、組織的に存在しますか。
I氏自身、平均して毎日3時間、月にして60時間はサービス残業していたという。また、それはアルバイトも基本的に同じとのことだ。
(2)御社にはタイムカードが無く、手書きの出勤簿に書き込み、それをレジ係がパソコンに打ち込むが、その際、