8月3日に第1報した、警視庁渋谷署が不適切対応で受理した事件を時効にしてしまった件だが、本紙指摘の“大物ヤメ検”は影どころか、少なくとも外形的に見る限り極めて“灰色”と思わないわけにはいかないので、この誰でも閲覧できる部分で実名を明かす。
それは名古屋高検検事長を務めたこともある敷田稔氏(冒頭右写真)だ。
第1報でも触れたように、この告訴案件の中心は「デジタルコンビニ(その後「日本電子データ・エクスチェンジ」に社名変更)」という会社(東京都中央区。代表・柏原武利=下写真)の未公開株詐欺容疑だった。
同社の謄本などによれば、同社は98年7月に資本金9000万円で設立されたが、未公開株を発行し、02年2月には資本金は14億8367万円まで急増。
ここまで引き受け手がいたのは近い上場を謳い、その信用として、大手冷凍食品会社「加ト吉」(現テーブルマーク)本体の当時の常務(特別背任罪で逮捕に)、別の常務ら役員3名が役員を兼務する子会社「ケイ・エスフーズ」(東京都港区。11年10月に清算完了)側が加ト吉本体が保証するとして、デジタルコンビニ側と共謀していたと見られるからだ。
一方、デジタルコンビニ側に目を移すと、敷田氏が同社監査役に就いていたのはその増資渦中の01年6月。むろん、上場にはならず、同社は06年3月にはたった1483万円に減資。そして09年6月には清算完了しているが、敷田氏が監査役辞任の届けをしたのは減資後の06年10月だった。
要するに、有り体にいえば、敷田氏の監査役就任期間(冒頭左写真=会社謄本より)というのは、デジタルコンビニの未公開株詐欺疑惑の販売、そして合法を装った資金移転(減資)時期の全般に渡っているのだ。そして、今回の不可解としかいいようのない時効切れ。これでは、疑惑の目を向けられてもやむを得ないだろう。