アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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被害者、詐欺で告訴へ――「D9」、「SENER」の広告塔を務めた布川敏和、中村雅俊

 最近の詐欺商法はずいぶん様変わりしており、いま流行の仮想通貨「ビットコイン」を商材に、ネット上で取引し、マルチ商法(連鎖販売取引)で投資を募るのだという。
「D9」(日利2%)はブラジルに本社を置くブックメーカーで、そこがHYIP(ハイプ)と呼ばれる超高利投資商品(ほとんどが詐欺)をやっているとされる。わが国の事務代行業者によれば、“ビットポートフォリオ”といい、ビットコインで投資し、このD9の他にも世界中から4か5つのハイプを選びそれに分散投資するから安全ということになっていた。
 昨年11月ごろから営業開始したが、すでに今年3月末、D9についてもわが国における代行業者が営業停止(他のハイプはそれまでにすでに破綻)。理由は新規登録がなくなったからとのこと。要するにこれは会社側自身、実質破綻したことを認めているわけだ。
すると、この被害者に、D9との代行をしていた者も含む連中が、今度は「SENER(セナ)」なる企業への投資を勧める。
 同社は07年7月、米ワシントンで創業で、インデックス先物投資がメーン事業とされる。わが国では今年3月から営業を始め、ビットコイン、マルチ商法を組み合わせハイプ案件なのはD9と同じ。
ただし、D9が完全なマネーゲームといっていいのに対し、セナは利回りが低い分、事業実態はあるとされたが、D9同様、東京における事務所は実態がなく、登記もされていない。そもそも米国のSENERとの関係さえ不確かで、早くもこの6月半ばには出金が出来なくなっている。そして、わが国における責任者はすでに雲隠れしたり、責任を別の者のせいにしており、どこまで事業実態があったのか怪しい限りだ。
「D9」も「SENER」も共に投資を募りながら、代行業者は金融商品取引業の許可さえ得ていないのだから、結局、何でもありだろう。
すでにどちらの件でも一部投資家が代行業者の中心人物8名ほどを刑事(詐欺罪)、民事で集団提訴すべく動いている。
被害者は5000人以上、被害総額は100億円を上回るとも見られている。被害者のなかには富裕層も多く、自己責任といえばそれまでだが、マルチ商法システム採用、それも「ナチュラリープラス」(東京都港区。16年3月から業務停止9カ月)、「ワールドベンチャーズ」(米テキサス州)を始めとする同商法の元上級販売員などが代行業の首謀者であると見られることから、マルチ人脈で一般の主婦や高齢者、なかには年金生活者も投資させられているだけに、そうした方の被害はやはり深刻だ。
ほどなく事件化し、一般マスコミでも大きく報じられる可能性は高いだろう。
(冒頭写真=「ワールドビジネスサテライト」=テレビ東京=6月21日)

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