アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

裁判所も認定した、世界的コンサル企業パシコン前社長・荒木民生氏の疑惑(「判決文」より。第4回)

 本紙・既報のように、本紙・山岡等が全面勝訴した対パシコン名誉毀損訴訟。  裁判所も、「記事には公共性、公益性があり、内容の主要な部分は真実。原告側は訴えに理由がないことを知っていたか、容易に知り得たにもかかわらず、あえて提訴した」(冒頭左写真参照のこと=「共同通信」今年2月16日記事)と認定。異例の当方反訴も認め、逆に原告の、わが国ODA利権にも深く関わる世界的建設コンサル企業「パシフィックコンサルタンツグループ」(東京都多摩市)と、前社長・荒木民生氏(右写真)に対し、共同して100万円の支払いを命じた。  だが、その判決にも拘わらず、荒木氏だけは控訴して来た。  そこで、本紙では、3回に渡って判決文中の「裁判所が認定した部分」を紹介した。だが、これだけでは不十分だ。  名誉毀損に該当しないと認められるためには、記事に公共性、公益性があるか、そして前出の裁判所が争いがないと認めた事実に加え、証拠資料などを総合的に判断し、真実ないし真実と信じるに足る相当性がなければならない。  以下、その裁判所の判断を紹介する。 (上掲新聞記事は「毎日新聞」05年8月17日) 争点(2)(本件記事の公共性、公益性、真実性及び相当性の有無)について (1)公共性及び公益性について ア 前記認定の事実関係によれば、本件記事は、原告荒木が中心となるパシコングループに属するPPMからル・マン商会を経由して原告荒木のファミリー企業であるP・J・Nに金銭が還流したことを摘示しており、それによりPPMに前記還流分の損害が発生した疑いがあるとしているのであるから、原告荒木の特別背任疑惑に関する事実を摘示するものということができる。そして、本件記事の掲載当時それについての公訴が提起されてはいなかったと推認されるから、本件記事には公共性が認められるというべきである(刑法230条の2第2項参照)。また、本件記事はパシコングループに関するものであるところ、前記争いのない事実等のとおり、同グループは国内トップの建設コンサルタントであり、多数のODA案件に関与するなど公的性格が強いのであるから、この点からしても、本件記事に公共性を認めることが相当である。  この点に関し、原告らは、本件記事によればル・マン商会からP・J・Nに金銭が流れたというのであって、原告荒木には特別背任罪が成立しないなどと主張するが、前記事実関係によれば原告荒木に特別背任罪が成立する余地がないとはいえないというべきであって、原告らの主張を採用することはできない。また、原告らは、原告会社が閉鎖会社で規模も大きくないから公共性はないなどとも主張するが、前記説示に照らせば、明らかに理由がない。 イ 次に、本件記事の公益性についてみると、前記のとおり、本件記事が公共の利害に関する報道と認められる上、被告らにおいて報道目的以外の不当な目的をもって本件記事を執筆、掲載したとうかがわせる事情も見当たらないから、専ら公益を図る目的でなされたものと推定するのが相当である。 (2)真実性ないし相当性について ア 本件記事?(「倒産するまで同社大株主でもあった。」)について  前記認定事実によれば、原告荒木は、パシフィック・テレコムの設立に際して約50%の出資を行い、その破産時点においても持株数が5番目に多い「主要株主」とされており、その持株比率も4.81%であったというのであるから、本件記事?は概ね真実であると認めることができる。  この点について、原告らは、4.81%では社会通念上「大株主」とは到底評価できず、原告荒木の役割も相談役程度のものであったにすぎないから、本件記事?は真実でないなどと主張する。しかし、前記のとおり、持株数が5番目に多いことなどからすれば大株主と評価するに不足はないというべきであるし、大株主であるか否かと株主がどのような形で会社に関わるかは無関係であるから、いずれも採用することはできない。 イ 本件記事?(「世界的な建設コンサルタント企業トップともあろう者が、同社のグループ会社と勘違いするような社名を冠したファミリー企業を設立し、自らも出資ないし役員を兼務して蓄財に励んでいた。そして、揚げ句には倒産させ、巨額の借金を背負ってしまっていたのだ。」)について  前記争いのない事実及び前記認定事実によれば、パシコングループの主要企業であるPCKK、PCI及びPPMはいずれもその名称に「パシフィック」の文字を含んでいると認められるところ、パシフィック・テレコムはまさにこの「パシフィック」の文字を冠していること、同社は原告荒木が約50%出資した上で役員を兼務し、その長男である荒木謙が代表取締役に、次男である荒木明夫が監査役にそれぞれ就任していたこと、他方で原告荒木はパシフィック・テレコムの債務について5000万円程度の個人保証及び1億円以上の貸付けを行い、破産によりそれらが借金ないし損失となったことが認められ、これらによれば本件記事?の主要な部分又は重要な部分は真実と認められる。  この点について、原告らは「設立」は出資と異なるし、原告荒木は「蓄財」していないから当該記事は真実でないなどと主張する。しかし、前記のとおり、原告荒木が約50%も出資している以上、これと設立との差異は些末なものにすぎず、また、原告荒木及びその親族が営利を目的とする株式会社に出資していることなどに照らせば、これをもって蓄財に励むと評価することが不相当であるともいえない。そうすると、原告らの指摘する諸点は上記結論に影響するものではないというべきである。 ウ 本件記事?(「パシフィック・テレコム倒産後、PCKKグループ会社が、ある会社に対して経営コンサルタントの一部を下請けに出している。ところが、その契約額二億九〇〇〇万円のちょうど半分を、荒木ファミリー企業に還流させている」)について  前記認定事実によれば、PPM(「PCKKグループ会社」)がル・マン商会(「ある会社」)に対して2億9000万円の報酬を払い、ル・マン商会がそのほぼ半額をP・J・N(「荒木ファミリー企業」)に対して支払っていること、原告荒木の長男である荒木謙がP・J・Nの取締役として上記支払に関連する合意書(乙16)及び請求書(乙20の1・2)の作成に関与したことが明らかであるから、本件記事?の主要な部分又は重要な部分は真実と認められる。 なお、本件記事においては、パシコングループ企業を「グループ会社」と呼称して、「ファミリー企業」と明確に区別していたことは明らかであるから、「還流」という用語についても同一主体に戻ってくるとの意味に用いていないこともまた明らかであって、原告荒木関連の企業間を資金が動いたとするにとどまるものと解されるから、この点をもって真実でないとすることは相当でない。  原告らは当該記事の真実性がないことについてるる主張するが、本件の事実経過については、前記のとおり認定することができるのであるから、この点に関する原告らの主張はいずれも理由がない。 エ 本件記事?(「関係者によれば、P・J・Nは倒産したパシフィック・テレコムの子会社だという。」)について  前記認定事実によれば、パシフィック・テレコムの破産管財人が調査の上でP・J・Nをパシフィック・テレコムの関連会社として挙げていたこと、その当時のパシフィック・テレコム本店所在地を本店としてP・J・Nが設立されたこと、その当時にパシフィック・テレコム代表取締役であった荒木謙がP・J・Nの代表取締役に、同人の妻である荒木増美がその監査役にそれぞれ就任したことなどが認められるところ、これらを総合するとP・J・Nがパシフィック・テレコムの子会社(会社法上の厳密な意味での「子会社」ではないとしても、パシフィック・テレコムの事実上の支配下にある会社)に当たるとすることができるから、本件記事?は真実と認められる(なお、証人森田(22ページ)も子会社であることを否定していない。)。 オ 本件記事?(「親会社倒産後も(中略)不可解な金の受け皿として利用されたのだろう。」)について  前記ウ及びエのとおり、PPMからル・マン商会に支払われた報酬の半額が原告荒木の親族が代表者を務めるP・J・Nの口座に入金されたという事実関係が認められる上、その資金の動きの趣旨・内容にかんがみるとこれを不明朗なものということが不相当とは認められないから、本件記事?の主要な部分又は重要な部分は真実と認められる。(続く)…

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