冒頭写真の書籍(講談社。2004年3月発行)は、わが国で30件、被害総額10億円以上の強盗を働き、その後、中国に逃亡したこの日中混成強盗団の日本人ボスを、現地で取材してその告白をまとめたものだ。
国際指名手配犯がリスクを犯してまで、なぜジャーナリストの著者に連絡を取り、犯行について告白したのか定かでないが、日本に残した妻のところに当局が頻繁にガサをかけるなどしており、それに対する牽制の意味もあったようだ。
それはともかく、横の写真の新聞(中国・大連の『大連新聞』。今年1月26日)は、この日本人ボスを含む主犯3名に対し、1月18日、大連市高等裁判所は麻薬販売の罪で死刑判決を下したと報じている(中国は2審で確定)。
上の書籍ではボスの名前は仮名(=竹下和則)になっている。だが、同紙では「武田輝夫」と実名を報じている。
書籍の著者が武田死刑囚(65歳)に会ったのは2003年3月と9月。上海と北京において。
同紙によれば、同年7月に3件の麻薬密輸事件が発覚し、武田は04年6月18日に逮捕されたというから、取材時、彼はすでに覚醒剤密輸に手を染めていたわけだ。だが、もちろん上の書籍では、覚醒剤密売の件は一切触れられていない。
押収された覚醒剤(シャブ)は約3?あったという。営利のために所持していたのは明らかだ。