本連載(3)で述べたように、「みずほ銀行被害者の会」代表を名乗っている街金「ミリオントラスト」(東京都江東区)の佐藤昇代表(下写真)は、みずほ銀行元審査役・及川幹雄被告にウソ投資話で3000万円騙されたと主張しているが、その3000万円は書類上、投資信託したものではなく、本業の街金業者として融資したものであり、しかも及川被告の自宅マンションに担保設定し、公正証書まで作成していた。
ところが、佐藤氏の本業はカネ貸しなのに、4カ月も前に取った謄本を見せられ、いまもそのままとの及川被告の言を信じて融資したら、実際はすでに自宅は他人の所有になっていたとして、佐藤氏は、及川被告のこの行為は「公正証書原本不実記載罪及び同行使に該当すると考えている」として、みずほ銀行に電話をかけ、複数のマスコミの名前を出し、同行の監督責任を追及していた。
あまっさえ、佐藤氏はこの3000万円被害の1年以上前に及川被告と面識を持ち、本連載(1)で見たように反社関係者も入り乱れる訳ありの1億4000万円、本連載(2)で見たようにさらに1億2400万円もの及川被告からの融資の受け皿にもなり、その一部を取った疑惑まで出ているのだ。このどこが被害者なのか?
不可解というしかないが、仮に1億4000万円、1億2400万円受け取りの件は切り離し3000万円の件だけに絞っても、カネ貸しのプロともあろうものが、4カ月も前の謄本を見せられ、取り直しもせず貸すなど絶対にあり得ないといっていい。では、なぜ佐藤氏は及川被告に貸したのか?
結論を先にいえば、まさに前述のように、及川被告を「公正証書原本不実記載罪及び同行使」の犯罪者に仕立て上げ、それで持ってみずほ銀行の責任を問い、カネを引き出すためだったようなのだ。
それは本紙の独自見解ではない。
実は12年12月、及川被告の当時の代理人弁護士が佐藤氏に「通知書」(冒頭写真)を出し、そのなかでそう結論づけていたのだ。