本紙既報のように、「春日山」部屋を巡っては、先代親方・岩永祥紀氏(下写真。元幕の内・春日富士。47)と春日山親方(冒頭写真。元幕内・浜錦。36)が真っ向から対立する異例の事態になっている。
岩永氏が春日山部屋の家賃が未納だとして今年10月に提訴(11日に第1回口頭弁論)、これに対し春日山親方は週明けの同11日、岩永氏らを被告に「親方株」の返還を求めて提訴することを、8日に記者会見を開いて明らかにしている。
「親方株」(年寄名跡証書)が従来、高額で売買されて来たことが、八百長や金銭トラブルの原因になったと見て、信頼回復を目指す北の湖理事長は「親方株」売買禁止(借金の担保も)を打ち出している。
その最中、「春日山」親方株を巡っての金銭トラブルが浮上。関心が向くのは当然だろう。いったい、真相はどういうことなのか?
本紙は以前から、この水面下のトラブルをキャッチし、取材していた。
これを機会に、連載でレポートする。
まずは、「春日山」親方株が再発行されていた事実をスッパ抜く。
実は「春日山」親方株は今年5月に再発行されていた。
関係者によれば、元浜錦は昨年2月29日に現役を引退。同時に、岩永氏から「春日山」親方株を取得・継承して春日山部屋を継承した。したがって、日本相撲協会から名義の書き換えのため親方株の一時提出を求められたので、岩永氏に何度も引き渡しを求めていたが、その都度、いろんな理由を付けて断れていた。
もっとも、春日山親方の断髪式(昨年9月28日)の前日、岩永氏はようやく親方株を引き渡し。これにより提出し、日本相撲協会から春日山親方の名が記された親方株が返還されたものの、岩永氏は「自分の金庫で預かっておく」といい、再度、岩永氏が保有。したがって、今日まで春日山親方が親方株を自分で保有していたのはたった数日に過ぎないのだ。
その後、2人の関係は本格的に悪化。その件を春日山親方は北の湖理事長の側近X氏に相談していた。
そして、思い余り、今年5月、そのX氏に親方株を「再発行」できないものか相談したところ、X氏は「できますよ」といい、2日後、まるで運転免許証の紛失に伴う再発行のように簡単に、「再発行」した親方株を持って来たというのだ。
ところが、一転、7月、そのX氏から春日山親方に電話があり、「悪いけど、(再発行した)親方株、破棄されたから」旨、告げられたそうだ。
では、そのX氏とはいったい、何者なのか?